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王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
本編

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10

今日は貴族としての慈善活動の為、お母様と公爵領の寺院へと来ている。


この寺院は各領地、そしてどの国にもあるのだ。


教えの根底として人間(ひと)如何(いか)(とうと)(すぐ)れているのか。

また、慈悲(じひ)を与えられるのも人の(ことわり)だからこそだ。

を基盤に、その国ごとに多少変わるそうだ。


そして国とは独立した組織となる。

   

王都の公爵邸から2日かけてやって来た私達。

大体1、2か月に1回のペースで行っているのだ。


寺院とは神の教えを説き、そして平民の学び舎としての役割を(にな)っている。

私達は神官から話を聞き、寄付するのが役目だ。


最近は学び舎に通う平民が増えた事。

物の物価が上がった事。

領地民の人数の推移など、平民の状況や生活を間近で聞ける機会なのだ。


平民は出産したら寺院へと届け出なくてはならない。

領地の人口数の把握は寺院の仕事なのである。


そして、母が言うには、平民の人数が領地の繁栄につながる事。

私達は自領の為に、最善を尽くさなくてはいけないと言っていた。


そうして無事、寄付も終わり、自領にある公爵邸へと行く。


今日はここに一泊するのだ。


明日は領地が隣のマルティネス侯爵家に招待をされている為、早く出ないといけない。

それから、やることを済ませて、早々に就寝したのであった。





【次の日】



マルティネス侯爵家のお茶会に母と一緒に向かっている。


馬車の小窓から初夏の日差しが注ぐ中、私の唯一(ゆいいつ)の友達の事を考えた。


侯爵家の令嬢メルティアとは、小さい時からの幼馴染だ。

領地が隣同士と言うのもあるが、同じ年で面倒見の良いメルティアを私はとても好きなのだ。


そうして考えている内に、マルティネス家へと到着したのである。


メルティアとメルティアの母が出迎えに来てくれている。


私はメルティアに久々に会えた事が嬉しくて、思わず抱き着いてしまった。

淑女として、はしたない行為だと分かってはいるが、我慢出来なかったのだ。


そんな私を、母が何か言いたそうに見ていたが、大目に見てくれたのだろう。

何も言われなかったのだった。


母同士は挨拶をしていて、これから茶会の場所に移動するのだろう。


私はメルティアの部屋へ案内された。

黄緑とクリーム色を基調とした部屋で、安らぎのある落ち着いた部屋だ。

私は辺りを見回して席に着くと、早速話し掛けたのである。


「メル、久しぶりね!ずっと手紙のやり取りだけだったから、会えてとっても嬉しいわ!」


「私もよ。エルは王都に居るから、なかなか会えないものね。

でも、元気そうで安心したわ」


アップルグリーンの瞳を細めて、喜びを返してくれた。

髪色はヘーゼルブラウンで、この部屋同様にホッとする色彩をしている。


それから、挨拶はそこそこにして、お互いの領地の流行品や、これから通う学園の話をして楽しんだのだった。


「そうそう、ウィルフォード殿下とはどうなの?」

「うーん、ぼちぼちかな。

・・・なんで?」


「いえ、前はいつも手紙に書いてあったのに、最近のには全くないから、どうなのかと思ってね」


なかなかに鋭いメルティアだ。


「そうだったかな?これと言って、書く事がなかったから。

あと、今はまだ言う事が出来ないけれど、とある計画を実行中なの!

達成が見えてきたら、話を聞いてくれる?」


「もちろんよ。それにしても、また何かしているの?

ウィルフォード殿下を余り困らせてはダメよ」


心配そうに言ってくれるが、私は大丈夫だと笑顔で返したのだった。


「ふふっ。大丈夫!きっとウィルフォード様も結果、良かったって。言ってくれると思うわ!」


そうして時間は過ぎ、お別れの時がやって来る。


楽しい時間はどうして早く過ぎてしまうのだろうか。

次はまた、いつ会えるか分からないが『また今度』と約束をし『手紙を書くわね』と言って、さようならをしたのだ。


それから帰りの馬車の中は行きと違って、少し、しんみりとしていたのだった。


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