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ヒトの骨格を持つ蠅の魔物に滅ぼされゆく世界を救う物語/アストリア戦記  作者: シューゲツ
第1章. The Resolve of Freedom’s Amethyst/自由なる紫水晶の決意
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第74話. その胸に刻みし紋章魔方陣

 ”ギュイイイイン!”


(居るのは……小型の"ラドロピクシー"計4体、そして特殊な武器を持つ”ゴブリンイーター”1体……そして——)

 囲み襲い来る魔物——その一体は血塗られたブレードから異様な機械音を放ち回転する機械じかけの剣を手にしている。


(あの武器……! 制された状態で食らえば鎧や装甲もろとも断ち切り裂くだろう……)


(だが、ヴェスパの扱う武器はいずれも危険であることになんら変わりはない!)


「お姉さま、僕の傍から離れず、どうかそのままで!」


「あ・・・あ・・・!」

 レイスンからあげられるのは声にならない声。酩酊状態で武器を投げ、それもはずれてしまった。

 言わばまるごしの状態、異様な騒音を上げる武器を持つ一体を目の当たりにしながら、なんとか自らの武器を再び手にしようと思案する。


 地に落ちている自らの短剣、拾えば再び戦えるかもしれない。


 ——が、この場において、彼の意思はそれを実行するに至らなかった。


「うわああああ!!」

「!!?レイスン()()はだめ!」


 レイスンは叫び声を上げながら、背を向けその場から走り逃げようとする。

 その行為は、ヴェスパに相対した者にとって最も危険な行為に他ならない。


 彼の背後から迫りくる異形、それはレイスン自身が恐れた機械剣を持つ個体ではなく、小型にして集団で身包みを剥がす蝿の魔物の個体”ラドロピクシー"であった。それは手ぶらではなく、鋭き剣が頸に突き立てられようとしている——


 "ザンッ!!"


 切断され、剣と共に音をたて地に落ちるもの——


「ハァ・・・ハァ・・・!!」


 それは、男の首ではなく、虫の腕であった。


 "——ガッ!"


 次なる一撃、それは片腕を武器ごと切断され地に落ちた魔物のこめかみ目掛けて鋭く突きさすように繰り出される。

 それは銀焔をまとい、そして間もなく灰となった。


 それを行った主は——カリストーだ。


 装飾の施された細剣——ロイヤルレイピアを振り払い、次なる虫の動きに対応すべく、構える。

 その剣の扱いは、まさしく伝統ある騎士の型であった。


「お姉さま、どうかそのままで。僕が片づけます」


「カリストー・・・! あなた、いまものすごい速さで・・・! しばらく会わないうちに、そんなことができたなんて!」


 そして、今しがた行った、"人を超える速さを誇る魔物"に追いつき切るその動作。

 それこそが、彼をここまで戦いながら生き延びさせている、"魔法"によるスキルであった——


「来るぞ!!!」


 残るラドロピクシー、そしてゴブリンイーター。武装したそれぞれは一斉にカリストーに襲い掛かる。

 正面に一体、そして死角から2体。

 更に万一の防護によって生じたその隙を仕留めるべく、機械剣を鳴り響かせるゴブリンイーターが構え狙う。


「……それでいい」


(僕の完璧なる意思に適合する魔法……それはどこにでも同じように使えるわけではない)


(だけど、丁度良いのをみつけた——!)


「一斉に!? さすがに援護できねえ! あいつ殺されるぞ!!」


 "ガッッ——ジャキイィィン——!!"


 ガンザンの叫び声と共に、カリストーの頸を狙い刃を振るう蟲の魔物。

 直後、立て続けに鋭き音が鳴り響く。


 そして、切られたそれは銀焔とともに舞い散り飛散する。

 ひとつは腹から両断、ふたつめは頸と泣き別れ。

 そして、みっつめの蝿の魔物は、ロイヤルレイピアにより額を突き刺され、灰となりつつもがいていた。


 カリストーはそれをすぐさま振り払うと、態勢をくずしたところを突け狙うはずだった機械剣の虫に対しレイピアを構え、対峙する。

 不意打ちは崩れ、瞬く間に残りは一体となった。


「あ・・・あいつ・・・あの男・・・!」


「おそろしく疾え!」

(やっぱりあいつハーフヴェスパか! ……でもなんで、ヴェスパと戦っているんだ?ヤツは、人類の味方をするハーフヴェスパなのか!?)

[注:違います]


(……どうやら、今ので使い果たしたか)


(流星の紋章(エンブレム)の力を!)


 "紋章魔方陣エンブレム・マジアサークル"——


 カリストーはハーフニンフとして人と魔の者、どちらにも溶け込みづらい幼少の日々を過ごし、生まれに対する執着があった。


 幼き頃、羨むその目で見続けてみたのは"、"家紋"だった。


 バーゼルスタイン家に伝わってきた"葡萄の蔦と酒甕(ピトス)の家紋"——彼は、代々続いてきたその家の者たる証明である"エンブレム"に対し特別な感情を抱いてきたのだ。


(あらゆるエンブレムに宿る意思の力を抽出し、それを心に刻むことで自らの身体に宿す。それが僕の能力……!)


 彼の視線にあったもの——


 それは馬車のキャビンと激突したことによって地に転がり落ちた落ちた車のエンブレム——そこに秘められているのは、流星の如く駆ける意思であった。


 ただし、エンブレムによって得られる効果は一時的。自らの心に刻み、スキルとして使用した意思の力は時間と共に徐々に薄れてゆき、再度効力が復活するまでは、新たに別のエンブレムから意思を抽出する必要がある。


(その場で発見し意思を抽出した紋章(エンブレム)には効果を譲るが、これを使うか)


 カリストーは懐からカードを取り出す。

 そこには竜の紋様が描かれていた。


「カリスト―・・・! あ、あなた・・・!」

「お姉さま、ご安心を。僕は、必ず勝ちます……!」

[AI非使用]

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