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第四話 ②

 馬車で移動する5日間、リヴァイアサンの部下たちに遭遇することはなかった。

 二日目の宿場にて、匿名の手紙が届いた。

少し読めばそれが王子からのものであることが分かった。

自分が無事であること。

俺はインフィナイトを呼び寄せる能力を持ち、「ありがとう」と言う言葉がトリガーで直前までいた場所に戻せるのではないかという考察をしたこと。

そして自分の力で可能な範囲でインフィナイトについて調べることなどが書かれていた。


 最後、追伸としてこのような記載があった。


『君たちの住んでいる街の役所に、伯爵からいくつか蔵書を寄贈するように手配しました。

民に無料で読めるようにしてほしいと伝えてあります。

街の方達の勉学に役に立つよう、祈っています。』


 その手紙と一緒に「市井で見かけた」という肩掛けのバスケットが送られてきた。

俺が入ってくつろぐ程度の余裕のあるサイズだ。

ご丁寧に中はふわふわの布入り。

これで俺も快適に運搬できるだろう。



 学園までの5日間、馬車の中で2人きりの時は俺たちはお互いの情報を交換しあった。

おかげでこの世界に関してそこそこ詳しくなれた。


 まず、山神ことダイアナのことだ。

当代聖女の名前はダイアナ。

精霊と交信して未来や過去を視ることのできる能力を持ち、大災害の被害を抑える役目を持つ。


 そして彼女と会うことで主人公(リンネ)は攻略対象達と前世からの縁で繋がっていることを知る、

生まれ変わっても続く愛の物語。

それがリンカーネーション(輪廻転生)マスカレード(仮面舞踏会)というわけだ。


 前世なんて突飛な話でなかなか理解できないが、冷静に考えたら俺たちも異世界から来ているから似たような境遇だ。


「気になるのはね、1000年前の世界で起きた戦争と、その戦争の結末」

 前世──1000年前の世界でとあることが原因で民を纏める祈りの御子に謀反した"魔族"。

彼らとの戦争の末に、封じられたものがある。


「それが、"魔法"」

 魔族を鎮圧するために、前世のリンネ達はこの世界から魔法を封印したのだ。

つまり、過去のこの世界に魔法はあったのだ。


「これって、インフィナイトと関わってる可能性って」

「あり得るな」

 世界に封印されたものとインフィナイツが深く関わっているというパターンはシリーズでもよくある。

俺が王子を転移させた件、そしてリンネがインフィ空間を使えた理由も"魔法"が関わっているのかもしれない。


 しかし、原作ゲームにおいて現代の登場人物が封じられた魔法を自在に使う展開は無いそうだ。

攻略キャラによってはものすごい奇跡が起き、それが魔法に依るものということが匂わされるらしいが。


 リヴァイアサンの部下を名乗るアナンダとヴリイソンが使った力も魔法かもしれない。

インフィナイトシリーズの敵が使う所謂"闇の力"の根源が、この世界では封じられたはずの魔法である可能性はゼロではない。


「次王子と会った時、このことを聞いた方が──」

「ううん、それは難しいかも。魔法が実在したことはこの国のトップシークレットだから」


 魔法の存在は、王国と神殿によって秘匿されているそうだ。

なので、魔法の存在に対する認識は現代日本と大して変わらない。

おとぎ話にしか存在しない与太でしかないのだ。


 今はまだ王子の好感度がたいしたこと無い。

それを知っていますと迂闊に言おうものならあらゆる疑いを掛けられるだろう。

いくらリンネが「この先の未来をある程度予知できる」と言っても、まだ知り合って間もない間柄だ。


 インフィガーネットとはうまくやっていきたい。

そのため、魔法に関するカードは切るタイミングを図らねばならない。


 リヴァイアサンの部下達に関して気になることがもう一つある。


「あのヴリイソンってやつ、ずいぶん立ち振る舞いが現代的だったよな」

「うん。それは思った」


 絶対この世界では使わない「タンマ」という言い回しを理解した。

それだけでなく、名刺だったり、承知しましたという言い回しを強要したり……

あまりにも現代日本人らしいと感じた。


 もしかしたら、奴も俺たちと同じ世界の出身なのかもしれない。


 そんな風にいくつかの『点』が揃ったが、それらをつなげる『線』が浮かばない。

確信が持てないうちはそういう可能性もある程度にとどめておくべきだ。


 最後に、今後の展開の予想だ。

「やっぱ近々に新戦士加入が来るだろうな」

 ほとんどの作品では2話か3話から立て続けに新戦士が加入する。

新戦士は基本的に主人公の学園の生徒、あるいは主人公の友人や憧れの年が近いキャラだ。

それがリンマスの重要キャラである可能性は高い。


「となると、スチル持ちなおかつ学園所属と言ったら……」

 リンネは何人か名前をあげてくれた。


 熱血な将軍子息、アーロン・マルティグラ。

 陰気な宰相子息、ヴェルリヤ・サハスラーラ。

 掴みどころのない公爵子息、ラファエル・ジプサム。


 そして女子の候補は以下の通り。

 義理堅い子爵令嬢、ジュノー・スマクラド。

 悪役令嬢で公爵令嬢、ミシェル・ジプサム。

 そして、リンマス主人公の聖女候補、リンネ・クロム。


「うーん……ヴェルリヤとかミシェルは戦ってくれるビジョンないなあ」

 というのがリンネの予想だ。


 ヴェルリヤは捻くれ者のガリ勉キャラ。

ミシェルは悪役令嬢。

前者はともかく、主人公に対して悪意を持つ後者は確かに微妙だろう。

シリーズでも悪役がインフィナイツに加入する場合、殆どが『洗脳を受けて悪事をしていた』というパターンだ。

自分で明確に悪意を持ったキャラが改心してインフィナイツに加入というケースが存在したが、その設定が女児にウケなくてグッズ売り上げが悪かったとか。


 最も、ミシェルがリンネに明確な悪意を見せるのは一部のルートだけらしいので悪意を持たず協力してくれるかもしれない。


 あと俺の予想ではジュノーも確率が低い気がする。

『アドバイスキャラ』という距離感を考えると、インフィナイトではなく協力者ポジションに落ち着くのではないだろうか。

リンネは「ジュノーちゃんになってほしいなあ、あたしは」と言っているが、なってほしいという願望と適性は訳が違うからなあ……


 そしてリンネ自身は「あたしが戦士になるビジョンが浮かばないなあ」とのことだ。

正直俺としてはあんたはめちゃくちゃ適性あると思うよ。

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