今日は上から...............
ここは、異国の客が集まるダンスバー。
20歳の女が、刺激的な服を身にまとって働いていた。
ノースリーブにミニスカート。
その笑顔はよく訓練されたもの。心の奥には、何もない。
まどか「May I help you?」
英語で客に声をかける。
カウンター越しに、外国人の男が笑いながら言った。
Ben「Can I get a beer? And she’ll have a whiskey. Neat.」
まどか「Sure. Coming right up.」
注文を取り、厨房へと滑るように歩いていく。
その背中。どこか虚ろだった。
まどか(もっと…つながりたい……
誰かに、必要とされたい……)
その夜、男とホテルで身体を重ねた。
愛でも恋でもない。ただ、その時間が“まぎれ”になればそれでよかった。
終わったあと、男はタバコをくゆらせる。
Ben「Thanks. Can I text you later?」
まどか「Of course. Just message me anytime.」
口元だけ笑った。目は、まったく笑っていなかった。
翌朝。
彼女は実家のドアを開けた。
母「何時だと思ってるのよ。娘が朝帰りなんて…」
まどかは返さない。
目は死んだ魚のように曇っていた。
母「お父さんは警察官なのよ?そんな娘が…」
その言葉に、まどかはようやく口を開く。
まどか「うるせぇ。クソババァ。」
部屋に戻ると、スマホが震えていた。
LINEの通知が、次々と並んでいた。
壮真「忘れられません。またデートしませんか?」
薫「あの夜、最高だった。また飲みたいな」
大助「君の(自主規制)は(自主規制)で、またベッドで――」
MIKE「I’ll never forget that night.」
まどか(昨日は、上から2番目だったっけ。
今日は、1番目にしようかな)
まどかは、上から1番目のメッセージに返事を打ち込む。
それが、彼女の“日常”だった。