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私のことを(たぶん)嫌いな騎士団長様は、"猫"を拾ったつもりらしい  作者: 優木凛々
第2章 魔法士アニス、元に戻ろうと奮闘する

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13.石碑探索、そして帰還

 

 アニスが突然元に戻った翌日の夜。


 アニスは、ハロルドに連れられて森に向かった。

 街で買った長くて丈夫なロープを穴にたらし、それを伝って石碑のある小部屋に降りる。


 幸い、小部屋は崩落から免れており、アニスが最初に入ったときと変わらぬ神秘的な雰囲気を醸し出していた。



(良かった、石碑が無事で)



 アニスは、余計な場所に触らないようにしながら石碑のそばに走り寄った。

 魔力が内包されており、暗号のような文字が並んでいる。



(たぶん、この中に術式が入っている)



 彼女は息を吐いた。

 ハロルドに離れてくれるようにジェスチャーすると、そっと石碑に触れる。



「にゃーん」(術式投影)



 石碑から魔力がゆらりと出て、その上に輝くような金色の魔法陣が浮かぶ。



(良かった。あった)



 ハロルドが慎重に近づいてきた。

「これか」とつぶやくと、鞄から紙とペンを取り出し、魔法陣を丁寧に写していく。

 ついでに、石碑の文字も写す。


 そして、写し終わると、彼はすぐにアニスを肩に乗せた。

 するするとロープを伝って昇り、地上に出る。


 宿に戻ってから、アニスは改めて魔法陣を見た。

 あちこちに知らない記号のようなものが使われており、今の彼女の知識で読み解くことはできない。



(これは、解読に苦労しそうね)



 がんばるわよ! と気合を入れる。




 ――そして、休暇の最終日。


 ハロルドは、何食わぬ顔で古代迷宮の入口に馬で乗り付けた。



「団長!」



 駆け寄ってくる騎士に、涼しい顔で「少し様子を見に来た」と伝える。


 しばらくすると、洞窟の中から、アニスと最後一緒にいた新人魔法士が慌てたように出てきた。

 ハロルドに丁寧なお辞儀をする。



「お久し振りです。ハロルド様、その際はお世話になりました。どうぞこちらへ」



 テントに案内しようとする彼を、ハロルドが制止した。



「ついでに寄っただけなので、気を遣わないでくれ。それより捜索の方はどうだ?」

「……順調とは言えません」



 魔法士が悲しそうな顔をした。



「副団長を最後に見た場所を中心に捜索しているのですが、持ち物が幾つか見つかっただけで、本人は見つかっていません」

「そうか……、ところで、私は元宝物庫のあたりで彼女のマントを発見したのだが、最後に見たのはそのあたりではないのか?」



 さりげない指摘に、魔法士が頭を掻いた。



「そう聞いてはいるんですけど、確かに最後に見たのは入り口付近なんです」

「間違いないのか?」

「ええ、何度も思い出しましたが、間違いありません」



 ハロルドが、「そうか」とうなずいた。



「では、私は行こう。忙しいところを邪魔したな。何か助けが必要だったら遠慮なく言ってくれ」

「ありがとうございます」



 愛想笑いをしながら頭を下げる魔法士を背に、ハロルドは馬に飛び乗った。

 馬を走らせ始めながら、肩のアニスにつぶやいた。



「……予想通りだったな」

「にゃあ……」



 アニスは同意するように鳴いた。

 残念ながら、やはりこれはただの崩落ではなく、アニスを閉じ込めるための崩落だったのだろう。


 ハロルドは、黙り込むアニスを慰めるように撫でると、王宮の方向へと馬を走らせた。




ちなみに、閉じ込められたのは陰謀ですが、猫になったのは偶然です。

陰謀側は、まさか猫になって逃げ出したとは思っていない感じです。


ややこしいので補足させて頂きました。( ̄▽ ̄)


詳しくは、「EP11:【Another Side】報告会」 を参照ください ̗̀ ( ˶'ᵕ'˶) ̖́-




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