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エンドステート ーシミュレーション台湾有事ー  作者: 益子侑也
第二章 認知戦

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9.陰謀論

8月15日 15時(日本標準時)

中華人民共和国北京市 在中華人民共和国日本国大使館


 北京の空は薄曇りに覆われていた。東京と気温こそ大差はなかったが、あの纏わりつくよくな鬱陶しい湿度がない分、幾分マシだった。もっとも、日によっては日本並みに湿度が上がる日もあるので、今日は過ごしやすい一日となるはずだった。

 しかし、十数年ぶりに、中国各地で大規模な反日デモが噴き上がった。近年は、「反日」が「反政府」に転じることを恐れてデモ抑制に動いていた中国政府が、一転して反日感情を煽り、焚き付けたのだ。中国のSNSには過激な言説が溢れ、日本人への憎悪を煽った。

 外務省は中国全土への渡航に注意喚起を発し、在中国日本大使館は邦人に対して安全対策を呼びかけるメールを送信した。14日の夜には日本人ビジネスマンが切りつけられる事件まで発生した。安全上の懸念から、職員らは前夜から大使館に泊まることを選択した。現に日本大使館はデモ隊に包囲されており、外に出ることは不可能といって良かった。公安当局の対応は曖昧で、警察官は群衆を遠巻きに静観していた。邦人の安全確保要請など無意味だった。

 一等書記官の榊原大介は、大使室のドアをノックした。

 中から応じる声を聞き、失礼しますとドアを開けた。

 岡垣在中華人民共和国日本国特命全権大使が、窓からデモ隊を眺めていた。プラカードや五星紅旗が掲げられ、日本国旗を燃やしているであろう火の手が上がっていた。

「大使、外交部から呼び出しです」

 榊原は、岡垣大使の後ろ姿に声をかけた。

「しばらく放置しておいて構わんぞ。こんな状態では、外に出られないしな」

 岡垣大使は振り返りながら、窓の外を指した。

「承知しました」

「まぁ、座ってくれ」

 岡垣大使は榊原を引き留め、自らソファに腰掛けた。榊原は軽く頭を下げ、向かいのソファに座った。

「俺が榊原と同じ一等書記官で赴任してた時を思い出す光景だよ」

「ここまでの規模は、二〇一二年以来ですからね」

 二〇一二年、尖閣諸島を日本政府が購入し、国有化したことを受け、中国国内では大規模な反日デモが巻き起こった。

「中国も多少なり大人な国になったと思っていたが、時計の針が逆戻りしたようだ」

「本来なら怒りの矛先が指導部に向くことを恐れて、抑制するはずですが。案の定、人民解放軍基地でも日本への攻撃を訴える抗議が起こっているようです」

「それを許容したということだな」

「許容したどころか、煽っています」

「君はどう分析している?」

「台湾や日本に対する攻撃の国民的合意を得たというナラティブを作る意図があると思います。それに、中南海のいくつものチャンネルが閉じられました。これ以上関わると、自分の身が危険になると」

 世間は在外公館の役割を、相手国政府との交渉や連絡、在留邦人の保護と捉えているが、情報収集も非常に重要である。対外諜報機関を持たない日本にとって、現地で合法的にヒューミントを行える在外公館の存在は貴重である。

 これまで榊原は、そうした人脈やバックチャンネルを構築してきた。それらを活用することで、中国政府が発するメッセージの建前と本音を分析することができた。表では国内世論に配慮して日本に対して強気なことを言いつつ、内心では日本との実利を重視していることが多かった。こうした本音を事前に知っていれば、外交交渉で優位に立てる。もちろん、中国政府にとっても、こうした人的ネットワークを重視していた。彼らとて、日本との間に齟齬が生じることを懸念していたからである。

「つまり、私は中国政府が台湾への武力行使に踏み切る可能性が高いと考えていーー」

 岡垣大使が笑いながら、遮った。

「いやいや、逆逆。指導部は最大限のガス抜きをしたいんだ。君のチャンネルが閉じられたのも、国民からのバッシングを恐れてのことだよ。中国と長年付き合ってきたが、君が思っている以上に実益を重んじる国だ。共産党体制を維持しながら経済は資本主義化したのもそうだ。貿易戦争している米国への輸出額だって全体の二割になるし、額は増え続けている。台湾への直接侵攻はあまりにもリスクが大きい。やるなら経済封鎖やサイバー攻撃だよ」

 チャイナスクールの代表格とも言うべき岡垣大使は、外交官人生の大半を中国に捧げてきた。彼の中国観は、実益重視と面子(建前)の国だった。榊原も中国語研修を受けたチャイナスクール出身者だが、中国に厳しい者は少数派だった。

岡垣大使の評価は正しいが、それは指導部に正確な情報が入っているという前提の話である。「一党独裁」から個人独裁化を進める孫主席は、政敵や意を唱える者を「汚職撲滅」の名の下に排除してきた。現在の孫主席には、都合の悪い情報は上がっていないため、非合理な判断も合理的と誤認して下す可能性がある、というのが榊原の分析だった。

「確かに一万人以上が血を流すのは、リスクが大きいですね」

 榊原は否定も肯定もせず、曖昧に答えた。

 中央省庁では事務次官が官僚の最高位であるが、例外的に外務省では事務次官を務めたのちに主要国大使となるケースがあった。岡垣大使に意を唱えたところで、望ましい結果は得られない。

 ただ、最大限の皮肉を込めた。


――私は核戦争を恐れない。帝国主義者が我々に戦争を仕掛けるなら、武力で対抗するのみだ。世界には二十七億人がいる。半分が死んでも、残りの半分が生き残る。中国の人口は六億人で、たとえ半分が死んでも、三億人が残るーー 毛沢東


 ――我々が先制攻撃をすれば、他国の人口を大きく減らし、我々が再建する場合には、人口的な優勢を保つことができるーー 朱成虎



東京都千代田区霞が関 外務本省


外務省庁舎の中央・南庁舎・北庁舎、そして新庁舎が口の字を描くように並び、その中庭には濃い影と蝉の声が満ちていた。

 各階に水平の庇と梁、垂直の柱を規則正しく積み重ねた本館は、薄青色の炻器質テラコッタ外壁に深い陰影を刻み、伝統的な日本建築を思わせる静けさを保っていた。だが、突如広がった黒雲が、庇のリズムをすべて濡れた陰に変えた。

 瞬く間にバケツをひっくり返したような雨が落ち、梁から梁へ、柱から柱へと水筋が走る。庇に叩きつけられた大粒の雨は、垂直の柱を伝って滝のように流れ落ちる。中庭はあっという間に水溜りとなり、排水口に葉が渦を巻く。ガラス張りの新庁舎の壁面には稲光が映り込み、白い閃光を散らした。

 黄褐色のトラバーチンのタイルが市松模様に配置されたエントランスでは、駆け込んだ職員達がスーツの雨を拭いながら通行証をかざす。

 国際情報統括官の大沢瑞希は、自室のデスクで受話器を取った。ナンバーディスプレイに表示された相手は、在中国日本大使館の榊原一等書記官だった。本省と在外公館を繋ぐ国際IPVPNと呼ばれる仮想専用線システムを使ったIP電話だ。

 セミロングの髪をそっと耳にかけて受話口を寄せると、榊原一等書記官の声が飛び込んできた。

『榊原です。中南海のチャンネルが次々と閉じられています』

「情報電は?」

『打ってますが、反応がありません。本省はどうなってるんですか?』

 在外公館からの外交公電は、北米局や欧州局等の各地域を所管する通称「地域局」が処理する。在中国日本大使館ならアジア大洋州局の中国・モンゴル第一課及び第二課になる。

「豊作は、台湾軍機と昨夜の日本人切りつけ事件に加えて、総理の靖国参拝の対応に追われてる。中国大使館もたった今、非難声明を出したみたい。これから官邸での総理レクをするから、てんてこ舞い」

『やっぱり、そうですか。こっちも大使が、外交部に呼ばれてます。とても外に出られる状態じゃないんですが』

「大丈夫なの?」

『完全に包囲されてますが、今のところは直接被害はないです』

「気をつけて。それで、最初の件を詳しく教えて」

 正式ルートで国際情報統括官組織に入る現地情報は、地域局を経由したもので生ではない。国際情報統括官組織は国家情報コミュニティの一員となってはいるが、外務省内では同格のはずの他の局に比べてヒエラルキーが低いのが実態だった。

 その長である大沢は同期の出世レースに敗れたと評され、女性だからという陰口すら聞こえたが、一向に構わなかった。外務省でインテリジェンスに関する教育はほとんどなく、二年おきの人事異動で国際情報統括官にインテリジェンスのプロが就任するわけではない。そもそも、その母数が少なすぎるのもある。

 情報部門軽視の現状で、国際情報官と内閣情報調査室出向を経験した自分が、国際情報統括官に就く意義があると信じて強く希望した。大沢の望んだポストだ。

 外務省内には、インテリジェンスに理解のある者たちが、部署の垣根を超えた非公式のラインを構築していた。大沢の配置もそこに合致した。通話相手の榊原一等書記官も、そのラインに組み込まれて独自に情報収集をしている一人だった。

『はい。中南海や軍のいくつかのチャンネルから、今後連絡は取れないと言われました。中央党校での研修からの長い付き合いの旧友からは、接触を断つというのが君への最後の情報提供だと言われました。外交関係者の動きが不気味なくらい静寂になっています』

 インテリジェンスの世界では、主観はノイズになるが、当事者の直感も無視できない。

「本来、戦争を始めるならこそ、バックチャンネルは残しておくものよね」

 キューバ危機では、米ソの非公式ラインによって核戦争を回避できた。

『それ以上に、情報が漏れることを恐れているように感じます。何としても台湾併合を実現したいという、孫主席の強い意志、いや執念の現れだと思います。台湾侵攻に慎重な幹部が、次々と解任されています』

「危険な兆候ね」

『それに共産党幹部の家族に、シンガポールといった海外移住の動きが――』

「もしもし? もしもし?」

 電話口の向こうが突如静寂になり、雨音だけが響き渡った。

 大沢はリダイヤルしたが、呼出音すら鳴らなかった。ツーツーと乾いた雑音だけが虚しく聞こえる。



沖縄県宮古島市平良字西里 宮古ポートサイドイン


 ゲストハウスからリゾートホテルまで、島内には九百軒を超える宿泊施設がひしめき合っている。その中でも比較的リーズナブルな平良港近くの〈宮古ポートサイドイン〉に、RawLensの二人は連泊していた。七階建六十室程のビジネスホテルは、シリンダーキーの古びたドアノブが平成初期の香りを漂わせているが、手入れとサービスが行き届いていて不便は感じなかった。

 ロビーの一角、開放的なガラスウォールからの日差しに使うように二人はノートPCを広げていた。眉を顰めながらキーを操作する江平の斜め隣で、市原は無料サービスの安っぽいコーヒーを啜った。ラウンジと呼ぶには贅沢すぎるが、気取り過ぎない落ち着く空間だった。

「あれ、えっえっ」

 江平が髪をかきあげながら、変な声をあげた。

「どうした?」

「いや、さっきYouTubeにアップした動画が」

 RawLensが大手メディアを出し抜いた台湾軍パイロット劉大尉へのインタビュー動画のことだった。

「そんなに再生数が伸びたか」

 自信気に市原が笑みを漏らしたが、江平の表情は曇っていた。

「削除されてる・・・・・・」

「えっ、なんで!」

 思わず叫んで画面を覗き込むと、〈この動画に関連付けられていたYouTubeアカウントが停止されたため、この動画は再生できません〉と表示されていた。

 嫌な予感がして、市原はスマートフォンを手に取った。Twitterアカウントも停止されていた。

「ホームページは?」

 江平がブックマークからRawLensのホームページを開くと〈このサイトにアクセスできません〉と表示された。

 気がつくと市原は代表の東根にダイヤルしていた。

『市原』

 応じた東根の声は深刻だった。電話の奥からも喧騒が伝わってきた。

「何がどうなってるんですか?」

『どうもサイバー攻撃っぽい。それに加えてSNSも大量通報で垢BANされてる』

「中国からですか?」

『現時点では何もわからない。復旧できるかどうか・・・・・・ 警察には通報して、知り合いのシステムエンジニア(SE)にも対応を頼んだところだ』



沖縄県宮古島市城辺新城字新城 新城海岸入口


 陸上自衛隊第42即応機動連隊の1/2tトラックが、県道83号線を軽快に走っていた。車窓の両側を、一面に広がるさとうきび畑が流れていく。

「見えた、あそこだ」

 助手席の串本は、フロントガラス越しに前方を指差した。 路肩には、ハザードを点滅させた1/2tトラック一輌が停車しており、その周囲には人々が群がっていた。ざわめきが遠くからでも聞こえ、ただならぬ雰囲気が漂う。

「パジェロ、確認しました。後方に停めます」

「頼む」

 中隊長ドライバーの陸士長が、ウインカーを上げて路肩に寄せた。砂塵が舞い上がり、甘さと青草の混じった独特な匂いと混ざり合った。串本はシートベルトを外し、すかさず下車した。

 前方には、作業服,迷彩にライナー姿の隊員三名の姿があった。左腕の〈陸上自衛隊 災害地誌調査員〉と書かれた白い腕章が、陽光を反射している。バインダーやメジャー、カメラ等を手にした彼らを八名の中年・高齢の男女が取り囲んで、口々に何か喚いている。

「どうしましたか? 責任者の私の方で伺います」

 串本は務めて穏やかな口調で声をかけたが、一人の高齢男性が日に焼けた顔を歪め、ギロリと鋭い眼光を向けた。

「貴様らぁ! 誰に許可取ってこないなことしとんのか!」

 関西訛りの怒鳴り声が、空気を切り裂いた。

「市の方に許可は取ってます」

 串本は冷静に答えた。

「戦争準備やろ!」

 男性が唾を飛ばしながら、串本に詰め寄る。

「災害が起きた時のための実地調査です」

 串本は否定したが、男性の言うことも正しかった。地誌調査は災害派遣と防衛出動の両方に備えるものだ。陸上自衛隊では、日頃から地誌情報を蓄積・更新しており、気候や植生、地形、道路や橋梁はもとより、電波状況や部隊の展開可能地等が記録されている。今回は即応機動連隊主力の展開に先立って、中隊に市内の一斉調査が命じられていた。多くの隊員は、台湾有事という戦争が目の前に迫っていることを察していた。しかし、そんなことは口走れない。

「戦争するんか! 戦争するんやろ! 半導体利権が! アメリカの中国に対する覇権戦争に加担するんか!」

 他の七人も串本を取り囲むように詰め寄り、スマートフォンやビデオカメラを向けた。ヤジが飛び、潮風に混じった汗の匂いが鼻につく。串本は群衆の怒気に飲み込まれそうだった。

「半導体? 違います。災害に備えたものです」

「自衛隊なんかいらへん! 出てけや!」

 すると、男性が串本の胸を強く押した。串本は微動だにしなかったが、男性の方がバランスを崩して、よろけて、地面に倒れた。

 待っていたと言わんばかりに、周囲からは「暴力反対」との声が巻上がった。

 目深にハットを被った女性が手にしたビデオカメラを向けながら、串本に詰め寄ってきた。レンズが当たるかと思うほど、ビデオカメラを向けて甲高い声を上げた。



東京都千代田区永田町 内閣総理大臣官邸


 五階の官房長官室。

 午後の官房長官定例会見で、総理の靖国参拝についての執拗な質問を切り抜けた豊島に休む間はなかった。

「本日、特異なサイバー攻撃が二件確認されました。まず、外務省の公電システムへのマルウェア攻撃が発生しました。現在、本省と在外公館の間の連絡が取れない状況で、復旧の見込みは立っていません」

 NISCのセンター長を務める横須賀内閣官房副長官補が報告した。

「また、緊急着陸した台湾軍のパイロットを独占取材したネットメディアに対してもDDoS攻撃があったと警視庁に通報がありました。同時期に各SNSのアカウントも、通報が相次ぎ凍結されたとのことです。現在、警察庁サイバー警察局が捜査に当たっています。一応、元記事と映像の提供も受けています」

 豊島の目の前に、タブレットと印刷された記事が差し出された。

「見ていいか?」

 横須賀官房副長官補が「えぇ」と頷き、豊島はタブレットの画面をタップした。

 ホテルの一室と思われる場所で、三十代前半くらいの男性がインタビューに応じていた。テロップには〈台湾空軍パイロット 劉慷仁 大尉〉とある。彫りの深い切り立った顔の彼は、流暢な日本語で答えていた。

「攻撃元は中国か」

「サイバー攻撃は、サードパーティーを介するので攻撃元の特定が困難です。仮に特定できても、それが個人や組織による犯罪なのか、国家によるものなのか、判別が難しいです」

 小牧内閣情報官が答え、「状況証拠からして中国の可能性が極めて大ですが」と付け加えた。

「さらにTwitterでは、先島諸島に展開した自衛官が地元住民を弾圧しているとの言説や映像が急速に拡散されています。詳細は分析中ですが、中国発のbotによって意図的に拡散されています」

「連動して陰謀論も流布されています」

「陰謀論?」

 豊島は首を傾げた。

「はい。アメリカは台湾を守ると言いながら、実は半導体利権を取り戻したい軍産複合体が暗躍している、という言説です。表向きは中国の仕業に見せかけて台湾を攻撃し、米中戦争を起こすことで台湾をリセットするシナリオがあるとしています。ベネット大統領の甥が半導体メーカーの『サイプレッション・マイクロエレクトロニクス』のCEOであり、大統領本人も親族やファンド経由でCME株を二十五パーセントも握っていると米メディアが報じています。CMEの半導体は台湾製品と競合していて、このままでは米国の軍需産業が先細りすることを恐れています。台湾に輸出されたF-16VにもCME製半導体が使われていたと言われていて、技術流出を恐れた米国が遠隔で“キルスイッチ”を押したために、下地島に緊急着陸したという内部告発もあります」

 豊島が眉間に眉を寄せると、小牧内閣情報官が続ける。

「もちろん、すべて陰謀論に過ぎません。ベネット大統領がCME株を保有しているとの出所はゴシップ紙で、元記事も断言はしておらず、明確な根拠はありません。F-16のキルスイッチも日本のまとめサイトのデマが逆輸入されたもので、そんなものは存在していません。ただ、事実も巧妙に散りばめられています。台湾が半導体の世界シェアの七割近くを有していることと、F-16Vの電子機器の一部に同社の半導体が使われているのは事実です。ベネット大統領の甥がCMEのCEOを勤めていたのもファクトですが、同氏はベネット氏の就任後に退任しています」

「そんな都市伝説? 陰謀論? 誰も信じやしないだろ」

 豊島が笑い飛ばした。

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