表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔道探偵ナツメ事務所  作者: 吉田 晶
第1話 ―家出娘と猫と指輪―

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/62

―家出娘と猫と指輪― ⑦

「おい、ヘンテコマスク先生が早退しちゃったけど、もう放課後ってことでいいのかな? だったら、今度はサッカーしようぜサッカー。ボールはお前の顔面な」


 ナツメは、そう言いながら足を振り上げる。

 びゅうん、びゅうんと凄まじい風切り音が響いた。


 さすがのブラッキィ兄貴も、絶体絶命であることを理解したようだ。先程までの()()()()()()は微塵も無い。


「お……テメエらがいくら頑張り屋さんでもよっ、よっ……ウチのケツ持ちは蓮波会だぞ、コラッ! ここらへんで蓮波会を敵に回してよ、まともに生きていけると思ってんのか! おい、コラッ!」

「はあ? 蓮波会? 何それ、初めて聞いた。それじゃあ今から(以下検閲済)」


 ユースケは、ナツメが口にした凄惨な拷問の内容を聞いて青ざめた。彼が心配したのは、もちろんブラッキィの命ではなく、ナツメが犯罪者になってしまうということであった。


「そこまで! 気持ちは分かるけどそこまで!」


 そうナツメを制止してから、ユースケは内なる己(ペルソナ)に語りかける。


(俺の中のビートよ、轟け! 俺の中のタケシよ、荒ぶれ!)


 そして、動揺しているブラッキィの襟首を掴むと、昔見た映画を参考に、なけなしのヤクザソウルで凄むのであった。


「おいィ、兄さんよォ、そろそろ俺たちが何者か見当ついてるんじゃないの?」

「??」


 混乱するブラッキィを尻目に、ユースケは続ける。


「わかんねえか……じゃあいいや、教えてやるよ。俺たちはさ、グアン兄弟社のさ、『七番隊』のモンだよ」

「嘘だろ……!?」

「証拠、見たいか? さっきの先生とやらにぶち込んでやった【精神鞭打】の魔道、そのチンケな脳味噌で味わってみるか? 一生笑うことしかできないようにしてやるよ、ああン!?」

「嘘だ……嘘だ……」

「今は会社の方針でよォ、チャムの親父まで新大陸こっちに来て、全力でシマ広げてる最中なんだよ。魔道士組合と戦争やった話、聞いてるだろ? 蓮波会なんてチンケな代紋、3日もありゃ灰にできるんだよ。ボケッ!」


 ブラッキィが細かく震えだした。話の内容に心当たりがあるらしい。


「だけど、運が良かったな。今回の件は隠密で動くように言われている……。

いいか、10秒だ。10秒だけ待ってやるから、その間にテメエの手下ともども俺の視界から失せろ。もしそれができないようなら、()()()で穏やかに、静かに済ませることにするからよぉ、ヘッヘッ」


 そう言って、ユースケはブラッキィの襟を放す。

 

 ブラッキィは、床で悶絶している巨漢を引きずって、9カウントきっかりで消え失せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ