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―キタブ・アッカの箱― ⑬
それからしばらくして、魔道士組合は「魔道十三階梯」の証書を一通発行した。
驚くべきことに、その申請書の推薦者欄には、「アガク」と「キタブ=アッカ」という伝説的な魔道士の名が直筆で記載されていたという。
そのため、審査担当者はずいぶんと冷汗をかいた――との噂である。
二百年ものあいだ中身を守り続けてきた『箱』は、最近になって新たな使命を仰せつかったという。
それは、とある魔道士が手にした『魔道十三階梯』の証書を守るという重要な任務であり、現在はその魔道士のアパートの屋根裏で、穏やかな日々を過ごしているとのことである。
〈キタブ・アッカの箱 完〉




