フリマサイトの闇の中で
ある土曜日に女子大生の遺体が見つかったと連絡が入った
お風呂で亡くなったようだ
自分で首を絞めたような跡と左手首にリストカットの跡
近くにカッターナイフが落ちていた
第一発見者は5歳年上の恋人だった
職業は文具を扱う商社マンだと名刺を見せた
営業の仕事で彼女と会えるのは月に3回あるかないか
1ヶ月ほど仕事で海外に行っていることもあるようだ
昨日は遅くまで仕事をしていて、ここには来ていない
週に1、2回程度、話をしたい時だけ連絡を取っている
2週間前に送ったメッセージから既読がついていない
大したことはないだろうと思っていたが少し不安になり
今朝、仕事に行く前に寄ったところ彼女が息をしていなかった
と証言した
彼女とのメッセージのやりとりも確認した
1ヶ月ほど前は海外に仕事に行っていたようだ
その間に「会いたい」と彼女から送っているメッセージがあった
だが、海外にいて会えない旨のやりとりがあった
聴取をすると
言葉の出だしや端々が詰まっている
思い出して辛いのではないだろうか
泣いたように目が赤く腫れていた
彼の証言は彼女のアパートの防犯カメラで確認できた
職場の防犯カメラにも
昨日の朝8:40頃出勤してから23:00の退勤時までの間に怪しい動きはなかった
特に怪しい点は見つからなかった
このアロマディフューザーだろうか
棚の上にある棒の刺さった小瓶からラベンダーの良い匂いがする
薄いピンク色の物が所々にあった
いつ誰が来ても良いように整えられた部屋が荒らされた形跡はなかった
玄関の鍵も窓も開いていない
窓際に小さな鉢植えがあり、植物が育っていた
そこに最近芽が出始めた双葉も見受けられた
机の上には薬局で買われたのか、睡眠薬の小瓶が3本置かれていた
そのうちの2本が空になっていた
全て一度に飲んだとして100錠は飲んだことになる
自殺で間違いないだろう
先輩が現場検証中にそう言った
僕もそう思う
遺体から睡眠薬を大量摂取した成分が出たし
睡眠薬の小瓶が空になっているから
自殺の理由が分からない
どちらかというと美人系のこの女子大生を死に追いやった理由が気になった
気になる点としてはフリマサイトで届いた荷物が至る所にあることだ
封筒サイズのものは机の上や床など様々なところにあった
箱は部屋の1/5を埋めるかのように山積みになっていた
開けていない物もあるようだから、買うことでストレス発散をしていたのではないだろうか
スマートフォンのフリマサイトで購買履歴を確認した
彼女は売っている物は無く、買う側だったようだ
机の上にあった封筒の一つは、3cm以内でポストから配送されていた
怪しい点は特に見つからなかった
送られてきただろうハンカチは洗濯機の中に入っていて回された後のようだった
机の上にメモ程度の大きさの手紙があった
文字は印刷で
「このたびは、お買い求めいただきましてありがとうございます。
眠れない時は湯船に浸かって体を温めたあとストレッチをしたり、
ホットミルクを飲むのもおすすめです。 」
と書いてあった。
他にも似たような文章が書かれたメッセージカードが机の上にいくつもあった
フリマサイト内で購入時に彼女から相談をしていたようだ
「眠れない時はどうしたらよいか、アドバイスがあれば教えてほしいです。」と
フリマサイトが好きな一人暮らしの女学生に見えた
もしかしたらこの可愛い髪留めや韓国風の服も通販や中古で買い、
一人暮らしの生活を頑張っていたのかもしれない
救急車が到着していてまもなく検察も来る
彼女のスマートフォンから両親だろう連絡先を確認した
連絡をして解剖の許可をもらい
直ぐに署に来てくれと伝えた
彼女は実家から離れた大学を受験した
大学に入ると同時に一人暮らしを始めたようだった
夏休みや正月は帰らず、昨年はアメリカに短期留学をしたようだ
将来は海外で語学の先生になりたいと話していたようだ
大学にも確認を取った
担任の先生、同級生、同じ講座を取っていた人
部活は海外の映画やアニメを見て語学を学ぶ内容だった
しかし、参考になりそうな証言はほとんどなかった
留学に行っていた
部活には留学前は来ていたが、留学終わりからほとんど参加していなかった
授業が同じだけでほとんど話をしていなかった
カフェでアルバイトをしていた
カフェにも確認したが、2週間程前に辞めていた
留学前と留学後にお金を貯めると働いていたようだ
よく働き、礼儀正しく、笑顔の素敵な良い子であったと証言した
少し気になったのは、
入学当時はぽっちゃりした体型だったが最近はモデルのように痩せていたことだ
遺体の解剖が終わり
死亡推定時刻は深夜2時
薬物大量摂取の成分
肝臓、胃の荒れ
麻薬の成分が検出されたということだった
麻薬がどこから流出していたのか
警察は見つけたかったが
捜査は行き詰まり、打ち切りになった
なぜなら自殺で答えは出ているからだ
薬物を誰かが無理やり飲ませたとも考えられないほど現場が綺麗で
他の人が入った形跡も見つからなかったからだ
1ヶ月ほど経ち、彼女の両親が彼女の部屋に訪れていた
名義人の両親の元に彼女のスマートフォンも戻った
後片付けをするようで、箱を壊して分別をしていたところに
彼氏だという男が、合鍵を返しに来た
お辞儀をして悲しそうな目をして離れていった
電車に乗った彼は直ぐに連絡をした
「これから、ご飯でもどう?」
ここからは作者しか知らないストーリーだ
彼女のフリマサイトのやりとりから、
謎解きのような文を解読すると
Date Bar(バーの日)が浮上した
今日は飲む日、いつも楽しむ日、いつものバーで という意味で使われていた様だ
そこは近くにゲストハウスやシェアハウス、Barやライブハウスなどが近くにあり
海外の観光客も多く訪れていた
フリマサイトや通販で購入した物に薬物や麻薬の植物の種を入れて流出していたようだ
フリマサイトや海外との個別の荷物配送は中身の確認まではしないからだ
彼女の最初のきっかけは知らずに飲んでしまったのかもしれない
海外留学中に薬物にはまり抜け出せなくなったのだろうと想像できた
彼女はそのBarに何かしら預けていたに違いない
だが、証拠はない
もう少し調べていれば、植物の芽が薬草だった
その種は他の種に混ざってフリマサイトで購入されていた
というところまでは突き止められたかもしれない
フリマサイトの個別のメッセージのやりとりは、もう日が経ちすぎて確認が出来ない
それを探して見つけたとしても、犯人として突き出せる訳では無い
普通にも取れるその文章は、暗号ではないと言われればそこまでであり
証拠にはならないからだ
種もしかり
他の種と混ぜられた中の一つであろう
あとはサイトに任せても良いが
一定期間の営業停止、最低の場合、サイトからの追放などの取り決めによって処罰を受けるだけだろう
名前と連絡先を登録し直せば何度でも始められる
海外から登録することも
海外のサーバーを通すこともきっと出来るのだろう
我々が生きている世の中は
名前と連絡先を登録すれば
どんな物でもボタン一つで購入できてしまう
そんな便利すぎる世の中だ
※全てフィクションです
自分を粗末に扱うこと、薬物に手を出すことは絶対にやめましょう
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特定商取引法などの安全に取引するための情報も得るようにしましょう