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公爵令嬢→悪役令嬢だったようです

 部屋に戻りクローゼットを開けると無数のドレス達がズラリと並んでいる。

 うーん、どのドレスもヒラヒラしていて一人で着るのが大変そうね。

 ガサガサと中を漁っていると前世のワンピースに近い、一人でも着ることの出来そうな簡素な服が奥から出てきた。

 うん、これなら良さそうね。

 それら数枚と替えの下着を数セット、クシ等の身支度に必要な小物をトランクに詰め込むとスクッと立ち上がった。


 ふぅ、暫くこの部屋ともお別れね。

 ぐるりと辺りを見渡すと、見慣れた部屋のはずなのに、前世と今世の記憶が入り混じる今の私にはどこか知らない部屋にいるような複雑な気持ちだ。

 そんなことを思っていると、ふっと姿見に映る自分の姿が目に入った。


 ん? なんだ、この既視感。


 自身の姿を見ているのだから見覚えがあるのは当然なのだが、そうではない、何か違う感じ。

 そう思った次の瞬間、脳裏にぶわっとある光景が浮かんで来た。

 深夜、小さい板の様な物をニタニタ覗き込む女。

 その板から発する光で暗闇に女の顔が薄らと浮かび上がり、その姿はまるで物語に出てくるゾンビの様な異質なオーラを放っていた。

 そして、その板に映るのは……私!?


(そうだ!! この顔、ゲームで見たことがある!)


 前世の私は産前休暇中、身重な身体で遠出が出来ないため暇潰しとしてやっていた乙女ゲームがあった。 

 鏡に映る私は、そのゲームに登場した悪役令嬢の姿にそっくりだ。


(ま、まさか……そんな訳が……!?)


 思わず鏡にしがみ付いて全身を眺める。

 ライトブルーの髪。

 腰までの長さでゆったりとしたウェーブが掛かり、その髪色と相まってどこか神秘的な美しさがある。

 顔はバランスの取れた美人だが、つり目がちでどこかキツい印象を与える瑠璃色の瞳が印象的だ。

 前世では有り得ないような髪色と瞳の色の組み合わせは「あぁ、やはりこれはゲームの世界なのか」と自身を納得させるには充分な材料だった。


(ふぁぁ、しっかしよく見るとすごい美人。前世の私とは大違いだわ)


 前世の私は、仕事と育児の疲れから目の下の隈が酷く、散髪の時間が取れずに中途半端に伸びっぱなしのボサボサな髪、子供達との外遊びで出来たまだらな日焼けに、年々酷くなっていくシミ、シワ、ソバカス。

 まぁはっきり言ってしまえば、くたびれた中年女だった。


(なんだかんだ言っても、若さって女の武器よね。肌なんて張りがあってぷるぷるだし。でも、体型はちょっと絞った方が良さそうね)


 ぎりぎりデブとまではいかないものの、ぽっちゃり体型で、二の腕やお腹にはタプタプ揺れる贅肉が付いている。


(確か、ゲームに登場していた悪役令嬢はヒロインよりぽっちゃりしていたな。普通、悪役令嬢って言ったら美人でスレンダーボディなのがテンプレなのに)


 ゲーム製作者の趣向なのか悪意なのか、悪役令嬢イザベルはぽっちゃり体型で、ゲーム内でも度々お茶会でお菓子を食べているシーンが登場していた。

 食べること、寝ることが趣味なイザベルは、プロポーションの維持などせず、好きな時に好きなだけお菓子を食べるという自堕落な生活を送っていた。


(修道院に行ったらしっかり働いて痩せる努力をしましょう。それより、困ったな)


 ここは乙女ゲームの世界であり、自身が悪役令嬢という立場であることまでは理解出来た。

 しかし、困ったことにゲームの内容が全く思い出せないのだ。


(普通さ、転生って言ったらゲームの流れが分かっていて、チートをフル活用してハッピーエンドってのがお決まりじゃないの!?)


 乙女ゲームから派生して異世界転生物のラノベも読んでいた私は、この手の話に免疫がある。


(しかも、転生先が悪役令嬢ってことは、断罪とかの破滅フラグがある訳でしょ!? 私、今後どうしたら良いのよーー!!?)


 ああ、今後を考えると頭が痛い……。

 一人頭を抱えてうんうん悩んでいると、コンコンと小さく扉を叩く音が聞こえた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 歓喜の舞、うち六畳一部屋なので、 来られると少し困りますね笑 でもお気持ちはわかります。嬉しいんですもんね✨ [一言] 更新お疲れ様です(^_^ゞ 思い出せないパターン、わりと珍しいで…
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