表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/35

連れ去られた場所は


(ん……)


 頬にヒヤリとする何かが触れた。

 

(あれ? 私は一体……)


 重い瞼を開けると、白い天井と天蓋が視界に入った。

 確か、アルノー家や学園寮の天井も白かったが、それらの場所とは違うようだ。

 ふっと横を見ると、知らない男がベット脇に座っていた。


「……起きたか」


 頬に触れていたのはその男の指先だった様だ。

 

(この方は、誰?)


 長い銀髪に燃えるような赤い瞳、そして、血の気のない真っ白な肌。

 美しい顔立ちだが、どこか生きた人間ではないような冷たさを感じる……そんな印象の男だった。

 

(ここは一体何処なの?)


 私は上体を起こし、辺りを見回す。

 小さいシャンデリアに重厚なカーテン。

 どこかのお城のような空間には、この大きなベッドとサイドテーブル以外は何もなく、どこか殺風景な印象を与えた。


「あの、ここは……?」


 私はさっきまでヘンリー殿下と共にいた筈だ。

 しかし、校門を出たところで真っ暗な闇に包まれ、そこからの記憶がない。


「ここは魔王城。我が城だ」


(まおうじょう……? まおう……魔王!? ど、ど、どうしよう! 逃げなきゃ!!)

 

 身に迫る危機から逃げようと、ガバッと掛けてある布団を剥ぎ、その男から離れようと身を捩った。

 しかし、男に腕を掴まれ、強く引き寄せられた。


「あっ!」

「いきなり立ち上がろうとするな。危ないだろう」

「嫌っ!! 離して!」


 掴んだ男の手を離そうと必死に腕に力を込めるも、ビクともしない。


「暴れるな、怪我をする」

「離して! だ、誰か!!」

「まずは落ち着け」

 

 魔王が反対側の手でスッと私の顔の前に手を置くと、ガクンッと身体の力が抜けた。


(なっ!? か、身体に力が入らない……!)


「うっ! ……な、何をしたの!?」

「このままではまともに話が出来ないのでな。悪いが、少々身体の自由を奪うことにした。危害を加えるつもりはないから安心しろ」

「はぁ!? 安心なんて出来るわけないでしょ! 貴方、魔王なんでしょ!? いきなり私を連れ去るなんて、一体何が目的なの!?」

「そう興奮するな。手荒な真似はしたくなかったが、そうでもしないとお前を手元に置けないのでな。小娘……いや、イザベルと言ったか。お前には、私の側でその力を使って欲しいのだ」

「は!? ち、力って……?」


 魔王は私の顎を掴み、グイッと顔を持ち上げた。

 赤い瞳がじっと私を見据える。


「お前のその魔力のことだ。……我にその力を貸して欲しい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想…というか。 エピソード10の子守から エピソード11の魔王城 途中が飛んでるってことがありますか? 自分が読み取れていないのか、様々関係で削除なのか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ