プロローグ
キィィィィィン!!
「……? ベル! 聞いてるのか、イザベル!!」
激しい耳鳴り音が脳内を駆け巡る。
それと同時に頭にガンッと強い衝撃が走った。
あまりの衝撃に私は頭を押さえてふらついた。
「うっ!? あ、頭が、割れ……っ!!」
頭が割れそうな激痛に思わず目を瞑る。
すると、次の瞬間!
目の前にブワッとある光景が広がった。
(え、何!? こ、これはっ!?)
自転車に跨る女性、
その前後に座る子供達、
そして、目の前に迫る黒光りする物体。
(あ、ダメ、意識……が………)
全身の力が一気に抜け、身体全体にガツンと強い衝撃が走る。
「イザベル? イザベル!! た、大変だっ!! 誰か医者を呼べ!! 早くっ!!」
「キャーーーッ!! イザベル!!」
「ベル!? ベルーーッ!!」
遠くでお父様の悲鳴にも似た叫び声が聞こえる。
同時に近くに居たお義母様とアルフ義兄様の悲鳴も耳に入ってきた。
しかし、激痛に耐え切れずに崩れた私の身体はピクリとも動かない。
しばらく周りの騒がしい音が耳に入ったが、その後どうなったのか、私は知らない。
ただ、ひとつだけ言えることがある。
この日を境に
今までの私は消失した。