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新青天の霹靂  作者: まめ
第一章 はじまり
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青天の霹靂3(ナイフが向けられる)

ホテルの前には、廉夏と廉の予想した以上に華やかで、煌びやかな集団がわんさかいた。

「うわ~、これはすごいね」

その集団を前にして、廉夏は減なりしたように言う。

「あ~あ、これは凄いな。2桁どころか3桁は行ったな」

その集団を前にして、廉も苦笑いを禁じ得なかった。

「うん、行ったね。たぶんこれは。野鳥の会の人でも、呼びたいぐらいだね。それで正確な数を割り出して欲しいな。でも、芸能人でもないのに、普通の人にこんなに群がるか? この人達にどんな特が、一体あると言うんだろう?」

「さぁな、意味なんてないのかもしれないな?」

「つまり、集団で騒ぎたいだけってこと?」

「そうなるな。ストレスが多いこの社会で、これで発散するんだから、まだ良いんじゃないか? それより、喜べよ、廉夏。それだけ、夫になる奴が格好良いってことだろう?」

「それが喜べたら良かったんだけどね」

これから、先の自分を思うと先が思いやられる。

「お前、冬眞の評価を上げざる終えないな」

そう言われ、廉夏は否定出来ない。それに、ムカつき廉にも言う。

「廉兄もね」

だが、廉から返って来たのは、肯定しその後嫌そうな顔をする。

「ああ、そうだな。でも、これは、想像以上だろう。この中から連れ出すなんて、考えただけで、骨が折れるな。私はパスだ」

廉が苦笑いしながら、言えば、廉夏も賛同する。

「えー、廉兄がパスなら、私もパス」

「お前が当事者なんだから、連れてこいよ」

「やだよ。それに、私から当事者になった覚えないし」

「冷たいね。お前の夫だろ」

そう言われ、廉夏は嫌そうな顔をする。

「そんなの知らないよ。勝手にされたの。私の知らないところでね。冬眞兄ちゃんもその片棒を担いでいるのよ。ある意味今回は自業自得よ」

冬眞は見えないが、たぶんというか確実に、この中心にいるはずである。

「そうかもな。でも、お前の夫には違いない」

廉は笑いながら言うと、いつまで経っても動こうとしない廉夏の背を廉が押す。

「何?」

よろけながらも、堪えた廉夏は廉を睨む。すると、廉はさらに笑って言う。

「どうにか、呼び戻せ」

「どうやれば良いのよ」

「たぶん、冬眞のところに行くだけで良い」

「分かった。行けば良いのね」

廉花が冬眞の前にオズオズと来る。

冬眞は廉に目を向ける。

廉は面白そうに二人を見てる。

それで悟る。

何とかしろと言われて来たんだろう。

冬眞は廉に怒りの目を向ける。

すると、廉は笑う。

冬眞は廉花を抱き締める。

「御免ね。廉花ちゃん、あとで、怒って良いから」

冬眞が耳元で囁くように言う。

『えっ』て思ったときには、唇が何かに覆われていた。

それが、冬眞の唇だと気付くのに、時間は掛からなかった。

「キャー」と悲鳴なのか、歓声なのか解らない声が上がる。

で口を離すと、廉花が思い出したように、皆の前と進む。これが、京極の京極たる所以なのかもしれない。

「皆さん、どうもありがとうございました。皆さんのお陰で、主人も楽しい時間が過ごせたと思います。主人に変わって、御礼申し上げます」

そう言い、頭を下げる。

皆、黙る。

そして、冬眞も続く。

「妻を待っている間、本当に楽しかったです。本来なら、妻が来ないと、ヤキモキするところだったのでしょうが、そんなことも忘れて楽しい時間を過ごすことが出来ました。ありがとうございます」

そして、和の中から抜け出し、冬眞と廉夏が廉の元へと来る。

「まさかキスとはな」

廉は面白そうに笑う。

「それでは、あなたが満足しないでしょう? 廉夏さんが僕の元に来たとき、あなたを見たら、これをどうにかして見せろと言ってらしたので。違いましたか?」

「否、当たりだ」

廉は面白そうに言う。

「ただ、俺が考えていたのは、抱き締める。だったけどな」

笑いながら、廉は言う。

冬眞が先を促す。

「そうですか? 取りあえず、さぁ、行きましょう。もう、時間がありません」

そう言った時に、何故かその次の瞬間、悲鳴が上がる。

なんと抜き身のナイフを構える女性がいたからだ。

それは、廉夏に向かっていた。

次の瞬間、廉が動いた。

ナイフをはたき落とすと、彼女に、馬乗りになって、押さえ付け、来た警備員に渡す。

それは、手慣れたものだった。

連れられていく彼女を見て冬眞は、深刻そうに言った。

「人が犯罪に走るのは、たぶん些細なきっかけなんでしょうね。でも、僕は犯罪に走る前に止めたいです」

冬眞はつらそうに言う。

「と言うことは、探偵にでもなるか?」

「何で、探偵なんですか?」

「今の時代だろう? 格好良いだろう?」

「でも、僕は犯罪を未然に防ぎたい」

「未然に防ぐか? それは、難しいな」

「ええ。だから、探偵になりたいのでは有りません。探偵は事件が、起きてから動きます。でも、僕はその前に動きたい」

「ふ~ん、難しい夢だな」

そんなときが警察に連れられて行く彼女に廉花が言う。

「あなたは私にではなく、京極に恨みがあったのね。あなたからは冬眞兄ちゃんに対する思いを全く、感じられなかった。とすると、恨みがあるのは京極によね。京極があなたに何をしたの?」

「何をしたかですって? お嬢様のあなたにはわからないわよね。あなたの家が契約を打ち切ったせいで家は潰れたわ」

泣き叫ぶように、言われて、廉は苦虫を噛み潰したような表情をする。

廉花はそれに、目を止めるが、そのことには触れず言う。

「そうね。私には分からない。でも、じゃあ、あなたはお嬢様の時は、何をしてたの?」

「何をしてたかですって? 私が何かをしなきゃいけないの?」

それを聞いて、分からないと言うように言う。

「じゃあ、今の私と一緒じゃない。なのに、人には求めるんだ? それって可笑しくない」

「うるさい。うるさい。うるさ~い」

「あら、都合が悪くなると怒鳴るの? 私は襲われることをいつも覚悟しているわ。いつもね。あなたは何をしたの?」

「何をしろと」

キレる彼女に、廉夏は笑う。

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