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新青天の霹靂  作者: まめ
第一章 はじまり
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青天の霹靂2(廉夏、豪創のほうに靡く)

「さぁ、早く行きましょう」

そうせかされ廉の愛車ホワイトに気付くと乗っていた。

ホワイトと言うぐらいだから、外見は白い。

なぜ、ベンツと同じ会社が作ったのだから、ベンツにしなかったのかって聞いたら、「俺に成金の趣味はない」と返ってきた。

廉夏は十分ホワイトも成金の象徴じゃんと言ったら、車体が白いからみんなに気付かれないから良いと言っていた。

確かに、黒いだけで目を引くかもしれない。

それに、比べて白は目を引かない。

でも、黒は何者にも染まらないから黒が良いと言ったら、白は初めから白以外白にならない。他のどの色を混ぜても、作れないから良いんだ。と、廉は言っていた。そうとも言えるか? 確かに黒は何色にも染まらないが、作ろうとしたとき、作ることが出来る。それに、比べて白は染まりやすいが白を作ろうとした時、白は白以外からは、作れないから結局、白と黒では、色としては、どっちの方が強いと言えるのだろうか?

呆然とそんなことを考えていると、廉夏に廉が声をかける。

「大丈夫か?」

「大丈夫なわけないでしょう。何で? 私、知らない間に罪人の片棒担いでいるのよ」

なぜこんなことに。

だから、期待を込めて、廉夏は聞く。

「でも、冬眞は納得なさらなかったでしょう?」

「安心せい。あやつは、儂の下駄占いで、納得したわい」

「何で納得するのよ」

廉夏はプリプリと怒る。

「あやつは、お前と結婚したかったのじゃろ。お前も結婚したかったのじゃろう? それなのに、廉夏は悠長に構えすぎなのじゃ。あまり悠長に、しておると、どこの馬の骨かも分からん奴に取られるぞ。あやつはかっこいいからな」

「う~、確かにそうかもしれないけど・・・。でも、それをご自分でいいますか?」

「ナゼじゃ、儂は冬眞のことを言っておるのじゃぞ?」

「ふ~ん、ここに来てまでごまかすんだ。まあ、お爺様なら本当に下駄飛ばしやりそうだもんな。現に、いつもやってるしね。あっ、でも書類書いてないと思うんですが、それにドレスとかも選んでないと思うのですが、式場の人とも打ち合わせしてないしね」

何とか、嘘だと思いたくって、粗を探す。

「ドレスはかわいいのを選んだぞ。喜べ。奮発して6枚も。だから、安心せい。書類に関しては、神崎の力でちょうど年の近い子に頼んで、書いてもらって、今朝一番に受理してもらったぞ」

「何を安心すれば、良いのか分からない。それより、お爺様、それは公文書偽造で、立派に犯罪かと」

廉が涼しい顔をして言う。

「たぶん、俺も良く分からないが、有印私文書偽造か公正証書元本不実記載にあたるんじゃないか?」

そんなことを調べるぐらい、何かに昔は廉も悩んでいた証拠。

「そんな、難しいこと分かんないし、どうでも良いわよ」

廉夏は怒ったように言う。

「私の知らないとこで、私も犯罪に荷担してるし」

「そんなこと、もうどうでも、いいじゃろう。さあ、行くぞ。結婚式じゃ。多分、花婿が首を長くして待ちわびているはずじゃ」

「あんなやつ待たせておけはいいのよ」

廉夏が言うと豪造は、申し訳なさそうに言う。

「冬眞君に悪いと思わないのか? たぶん、今頃お前を今か今かと首を長くして待ちわびているぞ」

「そんなこと思いません。あいつも、共犯者よ。それに、私がこなくて喜ばれてるかもね。ううん、絶対そうよ。少なくとも5人ぐらいわね」

簾が笑って、それを否定する。

「甘いな、廉夏。私は少く見積もっても、2桁は行くと思うぞ」

「う~ん、そうか」

唸りながら、廉夏は言った。

「冬眞もかわいそうにのう。プロポーズしたのは、廉夏じゃろうて? えっと、なんじゃったかの、廉知っておるか?」

「たぶん、オーソドックスな『結婚しよう』ですかね? それも、確か上から目線でね。それも9歳児の子供が言うんですから、当時、18だった冬眞もさぞ驚いたでしょうね」

廉が当たり前のように言う。

「何で、そこまで知ってるの?」

廉夏は顔を赤くする。

「どうして、それを。冬眞が言いましたか?」

「あやつは一言も言わなかったな、そんなこと。でも、儂の孫の廉夏ならそのぐらいしてもおかしくないとピーンと来たわい」

そして、豪造が懐から、何やら取り出す。

それを目にした途端、廉夏の目の色が変わる。

「そ、それは中世ヨーロッパで惨殺された娘がつけていたとされるネックレスではありませんか? ネット上で話題になってたんだよ。誰が落札したんだ? ってね」

廉は、廉夏は豪造側に流れたなと思った瞬間だった(笑)。

廉の想像通りだった。

「お爺さまには、もう少し頑張ってもらわなきゃ」

「お~、そうかそうか」

「京極はお爺様あってこそよ」

「では、これをプレゼントするかのう。ぜひ、つけて見せてくれんか」

「うん。廉兄、どこかパーキングエリア入って」

簾は返事をする。

「ハイハイ。丁度5キロ先にある」

そう言って、パーキングエリアに廉は入る。

「廉兄つけて」

「ハイハイ」

そう言って、廉夏から受け取ると、廉は慣れたしぐさでつける。それだけ、女の人に付ける機会が多いのだろう。たらしだと思う廉夏であった。廉夏が頼んでおきながら、酷い思われような廉だった。

「ほらよ」

「ありがとう」

廉夏は嬉しそうに笑う。

「お~、良く似合っておる」

「本当? 私も見てくる」

廉夏は嬉しそうに、パーキングエリアの洗面所に走って行く。

サングラスを取ると、簾は豪造に向き直る。

「廉夏を遠ざけてまで聞かせたくない話とは?」

「お前は、話が早くって助かる」

「滅相もございません」

豪造をイスに座らせ、自分は座らず、直立不動のまま、先程までが嘘のように、礼を取る。

「誰かが、この結婚式を狙っておる。細心の注意を払え」

「かしこまりました」

廉はきっちり頭を90度頭を下げる。

実は、廉は豪造こそが神崎の頭と思っている証拠だった。

廉夏のいないところでは、きちんと礼を取る。廉夏が見たら、吃驚するに違いない。

「うわ~、本当だ。かわいい」

廉夏の走ってくる音が合図であるかのように、廉も座り、サングラスをかける。

「本当に、似合っていたよ。お爺様ありがとう」

ニッコリ笑って、抱きつく。

「そうか、そうか。羨ましいだろう」

廉に言うが、涼しい顔で、廉は答えた。

「別にいつもやられていることだし」

「なに、羨ましい」

「そんな、興奮なさらないでください」

「そうよ、お爺様。京極の頭を勤めあげた男が心臓発作で、ポックリとかって、お葬式が笑いに包まれること、間違いないわ」

そう言った後、何か考え続ける。

「あっ、でも、それも面白いかも?」

「酷い廉夏」

タハハハハと乾いた笑いで誤魔化す廉夏。

「漫才は、それくらいにして、そろそろ、行かないと」

腕時計に目をやり、廉が言う。

「漫才?」

不満そうに廉夏が言う。

「漫才以外、何があると?」

「お~、そうじゃそうじゃ。廉夏行くぞ」

「どこに?」

「結婚式じゃ。多分、花婿が首を長くして待ちわびているぞ」

「やっぱ、イヤ~」

廉夏の叫びは、黙殺され、気づけば、廉が運転する車の中に。

覚悟を決めた廉夏は聞く。

「どこでやるんですか?」

「最初は武道館でやろうと思ったんじゃ」

もう廉夏は何を聞いても驚かない。

「でも制約がいちいち多くてのう。面倒臭く止めた。で、結局ブライダルを専門に扱っておる芸能人御用達のホテルにした。面白くない」

「私は一安心です。見せ物になる気はないので」

「おまえの両親は東京ドームでやったぞ。大層、喜んでおったな、お前も聞いただろう?」

「ええ、大層喜んでいましたよ。私も実際見てはいませんがね」

もう、喜ぶしかなかったのだろう。かわいそうに、そういうしかなかったのね。きっと、喜んではいなかっただろう。開き直っただけだ。可哀想に。

フォフォと笑う。

「さいですか」

呆れたように、廉夏は祖父を見る。

「さぁ、行くぞ」

そうして、廉の運転する車で廉夏たちは目的地へと向かったのだ。

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