新たな出会い
すみません!1話と2話を少し編集しました!
「ギルド作らない?」
川本がそう言うと、日賀はノリノリで答える
「いいじゃんそれ!作ろーや!みんなもいいよね?」
と、クラスのみんなを見ると不満のあるものはいなさそうだ
たしかにその方がクラスで固まると何かと協力もしやすいし最初から35人と割と大きなギルドを立てることが出来るため領土拡大の戦いへの備えの期間にも余裕ができるので合理的である
が、俺はコミュニケーションがこのクラスだととれそうにないので少し不安もある
まぁ、なんとかなるだろうけど
「じゃあギルドマスター?には俺がなるから、みんなでギルド作ろう。名前は2ーAでもいい?」
ギルドマスターになる事に関して批判するやつは誰もいないと思うが名前がそれだと俺達が文部科学省に選ばれたクラスだと公言しているようであまり良くない
こういうのは有名になるほど狙われたりするからな
本当はこう言いたいが、立場的に言えるわけが無い
誰か言わないかなと辺りを見回すと
「ごめん、それだと僕らが文部科学省に選ばれた事が周りにばれていやでも注目を浴びるから変えた方がいいと思う」
そう言ったのはクラスでも大人しめの部類に属す│倉井悟だ
噂では倉井はバトルゲーム業界では少し有名なほどゲームが上手いらしい
おそらく即戦力になるのだろう
ゲームになると日頃のカーストがまた変わってくる可能性が出てくるのも文部科学省が見込んでの事なのだろうか
なかなかやりおる
「あーたしかにな、じゃあどうする?ギルドマスター俺がなるし俺の名前からとってsunriseとかでいい?」
うん、めちゃめちゃかっこいい
日が昇るからsunriseか、安直だがすごくカッコよくなっている
名前から負けているのが悔しいところだ
「いいじゃん」
「それで良くね?」
クラスメイトたちも満更でもなさそうだ
「じゃあ今日ここに俺たちのギルド、sunriseを結成する!」
「「「おぉおおおお!!!」」」
「じゃあ早速今日はモンスターを少し倒しに行きたいし30分後にここへ集合にしない?」
またもや川本が提案をする
「おっけー、じゃあ一旦解散」
日賀がそう言うと、各自荷物整理や武器屋などに散らばっていく
俺も少し探索するか
そう思い、街を歩いていると少し外れたところに小さな武器屋があったのでとりあえず入ってみる
「あらいらっしゃい、鍛治職のユズよ。よろしくね」
そう言うとまるで筆のようにサラサラとしたクリーム色の綺麗な長髪を腰まで提げ、作業服に身を包んだ優しそうな顔をしたお姉さんはニコッと微笑んだ
なるほど、個人店なのか
そう、このゲームは戦うこと以外にも楽しみ方は色々ある。他にも、魔道具を売ったりする仕事など様々な職種がある
「早いですね。もう店を開くなんて」
まだ発売されて1日目で店まで開くなんてこの人相当のやり手か変態だ
「もしかしたらプレイヤーで最初に店を開いたら固有スキル貰えたりするんじゃないかなと思ってね」
「貰えたんですか?」
「ばっちり。君はお客さん第1号だから特別に教えてあげるわ」
ユズはそう言うと、メニュー画面を開きスキル内容を見せてくれた
「…まじか……」
それはほかの鍛治職の人が見たらひっくり返るような内容だった
スキル''即生産''どこにいても持ち物にあるものだけで武器などのアイテム生産が可能
そのスキルは、基本工房や道具がないと武器などを作れない鍛治職人の中ではとんでもないものである
「すごいでしょ、このスキル。早速モチベーションが最高潮よ」
うふふ、とにやにやしながら体をうねらせる
ちょっとわざとっぽいがそれは気にしない
「そうだ、せっかく第1号のお客さんなんだから武器を1つタダであげるわ」
「え!ほんとですか?」
正直それはすごく助かる
しかも鍛治職人が作る武器はNPCが営んでいる武器屋と違って全体的に質がいい
「うんうん、えーっと?君は何使いかな?」
「太刀です」
「太刀か~太刀なら……これかなっ」
そう言いながら工房の中に入っていき、1本の太刀を持ってくる
その手には長い刃先がワインのような暗みがかった赤色に輝く太刀が握られていた
「この武器は魔剣グランっていってね、火の属性付きの武器の中でもちょっと良い物なの。思いっきり叩いたらたまたま出来たんだけど、切れば火傷をおわせることが出来るし、思い切り振れば炎も飛ばせる優れものなのよ」
それはすごい
属性付きのチート武器だ
「ほんとにいいんですか?そんなレアな武器」
「いいのいいの!大切なお客様には最高のもの渡さないとね」
いい人すぎて死にそうだ
「じゃあ、ありがたく頂きます。」
そう言っ太刀を鍛治職人から取ろうとすると
グッ
あれ?なんでこの人手を離さないんだろう
そう思いチラッと顔を確認してみると、めちゃめちゃ歯を食い縛っている
「えっとー……これくれるんじゃないんですか?」
「あ、うん!どうぞ!」
鍛治職人が慌てて手を離す
自分で言ったくせに相当手痛い出費だったのだろう
まぁ、貰ってくけど
「ありがとうございまふ」
「うんうん、あ、そうだ!せっかくだからフレンドにならない?」
それはこっちからお願いしたいものだ
「ぜひお願いします!あ、俺ミツキって言います」
「ミツキね、よろしく。今更だけど敬語は無しでお願いね」
ふふっと笑いながら言う
「あぁ、わかったよ、ユズ。じゃあ俺そろそろ行くね、ほんとにありがとう」
そう言いながら背中にかけた刃を撫でる
「いえいえ、また来てね」
「ぜひ」
そう言って武器屋を出る、武器屋を出る直前、背後からリピーターゲットと聞こえたのは忘れておく事にしよう
そろそろ集合時間だ
「さて、行きますか」
集合場所の始まりの広場はここからだと少し遠いので急がなければならない
小走りで広場まで向かっていく
この時はまだ気付くよしもなかった
あの後に起こる悲劇を…