空中落下、口論バトル
何もない空間に少女の悲鳴が響き渡った。
「えっ・・、キャーー!!!」
(何!?えっ!なんで落ちてるの!!!??)
足場の無い空間、見えない地面
突如現れた黒い光に呑み込まれたと思えば、訳も分からず空中落下している麗香の耳に不機嫌そうな声が届いた。
「五月蝿い」
男にしては高く、女にしては低い中性的な声、
「現れた途端に騒がしくしよって、今度のは駄目かもしれんな」
「誰!?」
呆れた口調の声は、ため息を吐き出しながら
「はぁー、体勢を直せ、取り敢えず両足で立ってから話せ」
「どうやって!??」
間髪入れずに問いただす麗香、
両足で立てるなら既に立っている、地面が無いのだから立てる訳がない
「ここは例えるなら夢の世界だ、明晰夢の中で歩くように足の裏を意識しろ」
云われた通り、足の裏を意識し
スカイダイビングの大の字から脱却しようとする麗香、だが
「私、明晰夢なんか見た事無いんだけどー!!」
一向に体勢は治らない
「あー!五月蝿い!静かに出来んのか、貴様は!?」
焦れた声の主が怒鳴る
「はぁー!?私、落ちてるのよ!命の危機なの!!!静かにできる訳ないでしょ!!」
「このっ!我に口応えするとは無礼だぞ!!」
「何が無礼よ!!助けもしなければ、顔も見せないくせ、礼儀がなってないのはどっちよ!!」
負けずに怒鳴る麗香、言い争う二人
傍から見れば、大の字姿で落ちてるの少女が虚空に向かって怒鳴っているという、摩訶不思議な光景それが5分程度続いた。
「あー!もう良い!」
苛ついた声が響き渡り、麗香の目の前に突然、白い床が現れた
「はぁ!?何が」
文句の途中で床に顔面衝突する麗香
それを見て怒りが収まったのか、意地の悪い笑い声が響く
「くくく、無様だな」
「痛っーー、あんたね!床作れるなら最初から出しときなさいよ!!夢とかぐだぐた抜かさずに!!」
赤くなった顔を抑えながら文句をいう麗香を声が遮る
「騒がしい!話が進まんから黙っていろ」
いきなり、空中に放り出されてよく口論できるな麗香ちゃん。