異世界転移して72時間でクリア
強い陽射しが降り注ぐ外を窓越しに見ながら私は憂いていた。
「あんまりだわ・・・」
まさか、夏休みラスト一週間で風邪を引くとは、
しかも、宿題も終わり後は思い出作りに遊ぶだけ。3泊4日の家族旅行だって計画されていた為、家族は私の世話をご近所のオバさんに託して行ってしまった。
今でも、父と母の「あー、しょうがないかー」という顔が頭に思い浮かぶ。
(予定を立てて、楽しみにしていたから、風邪を引いて申し訳無いとは思う、思うけど!!)
「だからって、写真を一々送らなくてもいいじゃない!!」
スマホの中では、雄大な景色の中、美味しそうなお弁当を頬張っている、妹とその妹に甲斐甲斐しく世話を焼く母がいる。
そこは、私がパワースポットだから、大好きなゲームの舞台のモデルになった場所だから、説得し旅行にねじ込んだ場所だ。
悪意がないのは、分かってる
きっと、
「あんなに行きたがってたから、写真だけでも沢山送ろう」とか
いう思いやりだ。
でも、それでも、行きたかった場所に行けず、そこで和気藹々としてる写真を見ると嫉妬の炎が湧いてくる。
只でさえ、体温が高くなっているのに、もう2〜3℃上った気がする。
「駄目だわ、こんな調子だと治るものも治らないわ!気分転換にゲームでもしよ」
そう言って、嫉妬心を消す為にゲームの電源を入れた。
「えっ・・、何これ?」
見たことない黒い画面が写っていた。
いつもなら、秀麗な顔の主人公が写っている筈なのに、
「嘘でしょ!まさか壊れちゃった!??
折角、全クリ寸前までいったのに!」
焦った私は、ゲーム機に近寄り異常を探ろうと調べてみたが
全く分からず、イライラが頂点に達した。
「もう!!サイアク!!」
苛ついた勢いで思いっきりゲーム機を叩いた瞬間、テレビ画面から黒い光が目に入った。
思わず、目を閉じ、身構えた瞬間 私は、気を失った
誰も居なくなった家の玄関が開き、朗らかな女性の声がする
「麗香ちゃーん、入るわよー」
いないのー? 家を歩き回り、目当ての人物を見つけられなかった女性は、居間で点きっぱなしになっているテレビには気が付かず、薬や、ゼリー、お粥等をテーブルに置いたまま帰ってしまった。
時計の針は正午ピッタリである。