奇妙な小学生
7月20日
今日から夏休みがはじまりました
ぼくは昼におきておかあさんが作りおきしてくれたホットケーキに大好きなシャケをのせて大好きなケチャップをかけて食べました
ケチャップの味がしておいしかったです
シャケはケチャップに合わないこともわかってよかったです
7月21日
今日も昼までねていたらおかあさんにおこられました
しかたがないので今日はケチャップかけごはんを食べたあとお絵かきをしてあそびました
それでもプールにいきなさいとおこられました
およぐのはキライなので行きたくないです
7月22日
今日も昼までねていました
オムレツが食べたかったのでお昼は卵をやきました
少しこげたけどケチャップを沢山かけたらケチャップの味がしておいしかったです
しごとからかえってきたおかあさんにケチャップをつかいすぎだとおこられました
こんどからマヨネーズでケチャップをふやします
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これがしがない小学3年生だった私、マサヒロの日記だ。
当時友達が居なかった訳では無かったが、外で遊ぶよりも何よりも引き込もって寝たりお絵かきする事が大好きだった私は夏休みの宿題である日記に書ける体験がとても少なかった。
ついでに文才も無かった。
そんな私の休日の過ごし方は昼まで寝て、ごはんを食べて、少しお絵かきをしてまた寝る。
時々お絵かきの部分が宿題に変わる位だった。
普段の土日と変わらない…そんな夏休みを過ごしていたある日、私は不思議な夢を見る。
『おはよぉ!あさだよぉ!起きて!起きて!ポポポン!ポポポン!』
通信教材の付録についてきたうるさすぎる目覚ましを叩いて止めた。
『よいしょ!●ラショ!がんばるぞぉ!』
止めてもうるさい目覚ましにイラッとした当時の私は余分にもう一度叩くと時間を確認する。
昼の1時…もうこんな時間か…
流石に起きておきたかったが昨日は遅くまで録画していたビデオ『地獄先生●~べ~』を観ていたせいでまだ眠りたかった。
ピンク色のカーテンが夏の強い日差しを柔らかなオレンジ色に変え、寝室を夕焼け色に染めている。
クーラーが効いて涼しい部屋。
昼間だと言うのに夕方だと錯覚するような居心地のいい光。
両親は仕事、弟は学校のプールでおそらく友達の家に寄って遊んで帰ってくるだろう。
つまり夕方までは家に私一人。
家の中はとても静か。
マンションの四階だったおかげで外の騒音も無く、遠くでセミの鳴き声が聞こえるだけ。
最高の二度寝をするには十分すぎる環境となっていた。
私は現実を忘れ再び眠りについた。