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「ねぇ、お嬢ちゃんー。……あぁ、怪しい者じゃ無いよー」
いや、どう考えても怪しい者だろう。下校途中の女子高生に声かけるなんて。僕は目の前にいる、高身長で赤毛の美男子お兄さんに対して、警戒心を強める。
「突然だけどー、このキャンディあげるよー」
……は? キャンディ? お兄さんの手元を見ると、透明な包装紙で包まれたキャンディがちょこんと乗っていた。そのキャンディは、宇宙をぎゅっと詰め込んだような不思議な色をしていた。
「寝る前に食べてみてー。きっといい夢が見られるよー」
そんな効果があるキャンディなんて聞いたこと無いが……。キャンディは、とても魅力的だった。
「……べ、別にキャンディが食べたいわけじゃないが、最近寝付きが悪くてな。……もらっておこう」
「毎度ありー」
そう言ってお兄さんはにっこりと笑った。……この時の僕は気づけなかった。お兄さんの笑顔の本当の意味に……。
* * *
家に帰ってからも、僕はキャンディを眺めていた。見れば見るほど不思議なキャンディだ。こんな色の食べ物、見たことがない。……食べたい。今すぐにでも食べたい。……寝る前ってことは、お昼寝の前でも良いよね? ……うん。いいに決まってる。誰も夜とは言ってない!
「では、いざ実食……!」
見た目の割には普通に美味しかった。何味かと聞かれたら答えられないが。
……と、その時、異変は起こった。
あ、あれ? 壁がぐにゃぐにゃ歪んでる……⁉ まさか、このキャンディは覚醒剤とかそういう類の物だったのか⁉ ……うぅ……意、識が朦……朧と……。
僕はそのままベッドに倒れ込み、眠るように気を失った。
赤毛のお兄さん……許すまじ……‼




