~揺り動かされるもの
~♪
僕は、いつの間にか、意識を失っていたらしく、ぼんやりした頭でうっすらと目を開けると、どこからか話し声が聞こえてきました。
埃っぽい匂いが鼻について、聴いたことの無い音楽が流れています。どうしたことだろう。周りはまるで靄がかかったようで、まだ夢の中を漂っているようです。
――先ほどから聞こえる話し声も、不明瞭な頭では上手く意味として掴めないのです…
……すると、急にぐらりと、地面が揺れて、ガシャーン、と耳に煩い音が響いたと思うと、身体に大きな衝撃が走りました。……肩に亀裂が入ったかのような痛みに思わず、ぐっと堪えます。
「きゃあああ、た、大変!!!!!ど、どうしよう……おじいちゃんがいつも自慢している宝物が……」
ぱたぱたぱたと、なにかやわらかいものが駆けたらこんな感じなのでしょうか、と想像出来る音がこちらに近付いてきました。
僕が、ぼんやりしていると、行き成り、真後ろから頭をはたかれて、すこし高めの声でしかりつけられて、一方的に怒られたかと思うとぐいっと後ろ手を掴まれ、僕は、壁の外側に引っ張りだされたようでした。
僕と同じマリオネット?でしょうか……?けれど、後ろ姿は不思議な材質の身体で出来ているようでした。透明な身体は滑らかに動き、さらさらと肩までの金色の髪が揺れるその後ろ姿に、僕は、見惚れてしまいました。
「あなた、先ほどから見ていたら、魂持ちじゃないの!あの娘に見つかったらどうするのよ!」
高めの声の、そのマリオネットの後ろ姿に。