32/35
~悩みと人となりと(13)
バスケットの上の布の隙間越しに老人と目が合って、僕は、慌てて首を振る。老人は僕の様子に却ってはっとしたように表情を変えて、おかしそうに言った。
「……マリオネットの彼女は、時折、消えてしまいがちだからね、また思い出した頃にお戻りになるだろう」
メアリーだろう子の困惑したような声がする。
「……そうなのかな、……あの、ガラスのマリオネット、……時折、消えてしまうの。おじいちゃんは、何故そうなるのか知っているの?」
老人が更に笑いを深くしたのだろう、バスケットが少し揺れる。
「……あのマリオネットは、不思議な彼女だからね、悩みごとでも再発したのだろう」
雲をつかむような話に思えたのか、さすがにメアリーという子も、老人にきちんと取り合ってもらっていないことに気づいたらしい。
「……おじいちゃん、いつもちゃんと聞いてくれない!」
と、声を荒げるといなくなってしまった。




