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~悩みと人となりと(11)


 老人は、僕の目をじっと見つめると、何かを決めたように、すっ、と立ち上がった。

 「……私には、君に人の欲望の話を出来るか、……解らない。元々は、君を創ったアルベに責任の所在があるだろう?彼の言葉の方が君にも伝わりやすいだろうし、君にこれを」


 老人は、一冊の薄い本を僕に渡した。その本は、僕にも解る言語。マリオネットたちが使う言語で書かれていた。よく見れば、それらの装丁はお世辞にも上手とは言えず、ボロボロであったから、僕は、ピンときた。


 「……この本は、アルベという方がご自分で創ったものですか?」


 ふっと、老人は薄い笑みをこぼして頷く。笑いをこらえるようにそのまま口を開く。


 「……彼は、奇妙な男でね、君たち向けへこうした本を創っていたんだよ。……どこまでも、おかしな男だった。……私には未だに少ししか判別不能だが、……そこに書かれているのは君たちの言語だろう?」


 僕は、頷くと、じっとその薄い本を見つめた。……何を書かれているのか解らないけれど、その本のお世辞にも上手とは言えない装丁でも、温かみを感じるそれが、とアルベという方の人柄を表しているようで、少し嬉しくも身近に感じてしまう。……老人は、いい加減な人だったとアルベのことを評したけれど、……何となく、それだけが彼の一面ではないような気が、僕にはした。

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