~悩みと人となりと(9)
僕は、老人の重く吐かれた言葉に、きょとんとした。言われている意味が解らなかったからだ。
「?人間だから、醜いなんてこと……僕には……あんまり、よく解りません。人間も僕らマリオネットも、同じだと思います。僕らは戦争を経験していないけれど、僕の周りの国では戦争もあり、僕の国でも、マリオネット同士の喧嘩や、窃盗などもやはりあります。兵士は僕の父……王の悪口を言いますし……。あなたが仰る程、僕らマリオネットは清らかではありません。そういったマリオネットの有様を悲観して、吟遊詩人はうたっていたりします。あんまり僕はそういうのは解りませんが……。人間だけが特別醜いなんて……僕は思いません。」
老人は、目を見開いて、少し、笑ったように見えた。……それはひどく、解っていないものを見るような、でもひどく愛おし気な柔らかく面白がるような笑み。そして、目元を和らげると、僕に一言、そうだね。と、柔らかな口調で言い、思わずとでも言いたげに、僕の頭を撫でた。
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僕は、老人の穏やかな対応に戸惑いながら、更に困惑を強くする。老人は、そんな僕の様子を目にして、くすぐったそうに笑った。
「……ああ、すまない。君がとても……私が、嬉しくなるような反応をするものだから、ひどく君に会えた僥倖に感謝する気持ちになってね。アベルに……そして、居るかもわからないが、神様に感謝だな。」




