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~悩みと人となりと(8)
老人は、僕をじっと見つめながら、首を振った。そうして、嘆息した後、吐息ごとに言葉を吐くように……小さく、呟いた。
「……罪深いことだ」
老人は、顔を上げると、僕を見つめ、そっと言う。
「……君は、アベルを信じているのだね。……無理もない。……彼は、君を創ったものだろうから……私らにとってみれば、親のような感覚か……。……君はね、多分、これから知ることが陳腐でありきたりで、なんの特別さもない、……知らない方が幸せだった……そんな、君が知らなくともよかったことを知ることになるのかもしれない。……私は、君のように純粋な穢れのないマリオネットではなく、……こうして、歳も取って大分衰えた……人間でね、……人の醜さを……それなりに知っているつもりだ。だから、私には、何もショックなことではなく、当然なことなのだが、……それを君のようなマリオネットに伝えて、ショックを与えないか判断がつかないよ。……アベルはね、そこまで出来た人でも、醜くない人でもない。人間だからね」




