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~悩みと人となりと(7)
老人は、僕をじっと見つめる。……その顔には暗く影が落ち、目元は暗く陰った。老人は、ためらうように口を開きかけ、思い直すように首を振ると、少し振り切るように口元を緩め、目元をすがめるようにする。
―-まるで、眩しいものを見るように
「……クロ、と、言ったね?……君は、アベルの何を知りたいと思っているのかな……。私が君に話せることは、もしかしたらそんなには多くないのだけれど」
僕は、老人の様子から、アベルと言う人について尋ねることがこの人の好さそうなこの方を困らせるということを何となく感じ取り、少しだけおじけづくような気持ちになった。
―-僕は何を知りたくて、僕は、何をこの方から聞きたいのか
「……僕は、その、アベルという人がきっと創ったのだろうマリオネットです。……彼は、きっと、彼の創った人形劇の最期を知っているのかもしれない。……僕はそれを知りたいのではなくて、……きっと知らなければならないような気がしているんです。アベルという人は、きっとそれを僕に教える為に僕をこの世界へ送ったのだと思うから……僕の行動が僕の世界に影響を与えるのかもしれないし、与えないのかもしれない。でも何か僕は、それをしなければいけないような気がしているから、アベルという人のことをもっと沢山、僕は知りたいです」




