~悩みと人となりと(3)
老人は、僕の傍近くまで近づくと僕を抱えるようにして腕の中にしまうようにした。毒蜘蛛のターニー婦人はどこにいってしまったのだろう。姿が見えないけれど、僕は軽くターニー婦人が居るであろう方向に軽く頭を下げた。
小柄な老人は、それでも軽々と僕を抱えて。彼の本の墓場から彼の部屋まではそこまで距離は無いようだった。……というよりも、すぐ隣の部屋だったらしい。彼は、隠し扉のような戸を独特の方法で開けると僕を抱えながら、彼の部屋へと招き入れた。
彼の部屋に入り、僕は大きく目を見開く。……その部屋は、独特な造形のマリオネットで溢れていたからだ。どのマリオネットも知性のあるような光を目に宿してはいなかったけれど、それでも、皆丁寧に整えられて大事に保管されているだろうことはすぐに解った。まるで、マリオネットたちがすぐにでも話しかけてきそうな程には生き生きと様々なしぐさでまるで舞台で踊っているように置かれている部屋。
老人は、僕にフカフカな椅子を薦めると、自らはお気に入りなのだろうか揺り椅子に腰かけて、珈琲を手にした。部屋に入ってすぐに彼が入れた珈琲の香りで部屋は満ちている。
僕は、水分で口元を浸すようにした後、ほんの少しのオイルを頂いて、身体の様々な箇所にオイルを差した。ぎしぎしとしていた身体がスムーズに動くような感触にほんの少しほっとして身体の力が抜けていくような気がする。




