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~金糸の髪と透ける肌



 「私、のみというの。おじい様が作ったわ」


 暗いネズミが作り上げたという穴に手を引っ張られて僕はマリオネットだろう彼女と横並びで座る。そこは、意外にも広く、奥行きがあって、ほんのり隙間から光が入って、彼女の横顔をほんのり照らす。僕は、ぼーっと、彼女の横顔を見つめながらその少し高めの彼女の声を聴いていた。音楽のような彼女の声の響きに聴き入ってしまって、その一瞬後に意味を考える。先ほどから僕はその調子で、彼女の話に僕は一泊遅れて返した。


 「あなた、聞いてるの?」


 僕は、ぼそりと口にする。


 「き、聞いてるよ。そっか、君は、許のみ、というんだね。……僕の知らない文字だ……どんな意味がこめられているんだい?」


 僕は、彼女から許のみという名前を教えられ、その文字も教えられてほんの少し慌てながら言った。正直、僕は意味はあんまり気になっていなかったのだけれど、彼女の威圧感から、聞かないといけない気がしたんだ。


 マリオネットの彼女は、僕のその言葉を聞くと、途端に肩を落とした。カクッという音とともに、彼女の首元から全体が折れるように下がり、パチッという音と共に、彼女の大きな瞼とまつげが伏せられる。そのまま、彼女はカタンッという音と共に、透ける両手で顔を覆った。



 僕は、一連の彼女の光景をただただ息をのむように見つめる。彼女は、僕の予想もつかない行動をとる。僕は、いつしか彼女の一挙手一投足に呑まれてしまったようになってしまっていた。まるで、彼女が演じる人で僕が観客みたいに。


 「おじい様は、ある子に、許してもらいたかったのよ。だから、私にそのような願いを込めて、このようなおかしな名前をつけたの。私、こんなおかしな名前、大っ嫌いだわ」



 僕は、おろおろとしながら、


 「そ、そうかい……」


 という言葉をやっという。すると彼女は、僕にしがみつくようにすると、僕に頼み事をして。


 「ね。君が私の新しい名前を付けてほしいの」



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