~限られた国土
こんにちは。今晩は。……それとも、オハヨウゴザイマス、ですか……?僕、マリオネットの”クロ”と、申します。えっと、あなたは、どこの国の、どちら様、ですか……?
僕は、……僕の国は、『マリオネットの国』って言います。……すごく、限られた土地の、すごく貧乏な国土の、小さな小さな小国、です。……ここは、王制になっていて、僕は、その小国の……貧乏小国の、王子様ってやつです。
……オウジサマってやつがすごいって、そこの目の前のあなたは仰るのでしょうけれど、僕は、全然そんなこと思いません。……だって、僕らの国は、すごく貧乏だから。隣り合わせた大国のほかの国の国力のほんの10分の一しか持ってない国です。
僕の父上、つまり、この国の王様は、国を強くするとか、そんなこと全く興味がありません。武力を嫌っていて、戦いを嫌っていて、壊すことを嫌っている、弱体ものの王って、国に仕えている兵ですら、影で笑いものにしています。僕の父上は、戦争を避けるために、周りの国に媚びを売って守ってもらっています。
……僕は、悔しいです。……でも、僕は、壊すことが嫌いな僕の父上を、どうしても嫌いになんてなれません。……それは、何故かっていうと、ん、それを話す前に、少しいろいろお話しないといけないことがあります。すみません。
ちょっとだけ、僕の話、聞いてくれたら、嬉しいです。
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僕らの国、『マリオネットの国』と言われるこの国は、とても貧乏です。国の様子は……先ず、限られた土地があって、水があって、山があって、街をまとめる大聖堂の横に王宮があって、街の人々が住む建物があって、街の人々が生活する場、商店があって、学校があります。 ここ、『マリオネットの国』には水が溢れています。海にも面していますが、山からの湧き水も流れてきます。海には、色とりどりのお魚が住んでいます。
『水の国』っていう、国が海のずっと向こう側にあります。そこの『水の国』と、『マリオネットの国』は、友好関係を結んでいます。僕ら『マリオネットの国』の国民は、皆、マリオネットだから、『水の国』の眷属である、海のお魚たちを食さないんです。だから、大昔にお互いの国が手を取りました。一緒に助け合っていこうね、って。弱い国どうし、手を取り合ったんです。だから、隣りあわせの『水の国』は、僕らの国の友好国です。
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