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ルイヴィトンの旅

ボクが産まれたのは、フランスのリヨンの郊外にある小さな村。

ミンナよく知ってると思うけど、ルイヴィトンが作られてる場所なんだ。

この村でも一番の職人さん、ジャコブさんがボクの産みの親なんだけど、そのジャコブさんは、この時、辛い想いをしてたんだ。

ジャコブさんの一人娘のメリッサちゃんが、重い病気にかかって、たくさんのお金が必要だった。

お給料だけじゃ足りなくって困ってたら、"まふぃあ"って言う人達が粗悪な偽物を作ってくれたら、たくさんお金をあげるって言ってきたらしいんだ。

ジャコブさんは、いけないって判ってたけど、メリッサちゃんを助ける為にOKしちゃったんだ。


ジャコブさんは、メリッサちゃんを助けられるギリギリの数、10体のボクたちを作る事にした。

ボクは、ジャコブさんの第1号なんだけど、ボクを作り始めて半分位の所で手を止めた。そして、ボクをバラバラにして、もう一度一から作り直したんだ。そして今度は、いつも作ってる様に丁寧に作ってくれたんだ。

粗悪にボクたちを作るより、5倍位の時間が掛かるのに、ジャコブさんは、寝る間も食べる時間も惜しんでボクたちを作ったんだ。

そして最後に、自分で作った偽物のマークを付けた。


ボクたち10体が完成した時ジャコブさんは、すっかりやつれれていた。

最後にジャコブさんは涙を流しながら「ゴメンな、お前達、せめて…いい人に出逢って大切にして貰ってくれ」って言ったんだ。

そしてボクたちは、"まふぃあ"の人たちに引き渡されて行った。


ボクたち10体は、その後バラバラになって、今もミンナどうしてるか知らない。

ボクはアジアって地域を転々とした。ミンナ、ボクを酷く扱って、投げられたり踏んづけられたりした。でも、ジャコブさんが丈夫に作ってくれたから、壊れたりはしなかった。

でも、遂に重症をおってしまった。"助けて、ジャコブさん"


やがてボクは日本って国に着いた。この国は、ボクの所謂いわゆる本物や、ボクたち以上の偽物もたくさんいるらしい。

ボクはあるお店に引き渡された。その店のおじさんは、なんかジャコブさんとよく似た目をしていた。おじさんはボクを受け取ると、裏の工房にボクを連れて行った。そして、ボクに治療を施してくれた。とっても気持ちいい!


元気になったボクは、ショウウィンドーに飾られた。ボクはずっとおじさんと一緒にいたいけど、ボクを売らなきゃ、おじさんは生活出来ない。


いろんな人がボクを見て来る。ミンナ、目が怖い。でも、おじさんはそんな人に絶対にボクを売らなかった。


ある日、すごく目がキラキラしたお姉さんがやって来た。こんな人に貰って欲しい…


おじさんは、このお姉さんにボクを売った。

さようなら、おじさん…そしてありがとう。

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