後悔したくない女
道が混んでて、やっと駅前に着いた。
サイン会って何時までやってんの?
今…21時23分か、ってこんな時間までやってないよね?さすがに…
でも、僅かな可能性に賭けるしかない。だって…もう後悔したくないもん。
あの日…悟に再会した日、もっと、ちゃんと話を聞いていれば、こんな事にはなってなかったと思う。きっと、悟はあの日、私を迎えに来てくれたんだ。あの日に出版が決まったか決まりそうかで、自信を持って私を迎えに来たんだ。
バツイチだったってのは気に喰わないけど、もうそんな事もどうでもいい。悟は私にとってのワインなんだ。私の人生を豊かにしてくれる大切な人なんだ。
やっと、水戸書店に着いた。
"宮本悟先生 受賞記念サイン会開催
本日 17時~19時"
だよね…
諦めて、帰ろうとした…その時、何故だか悟の声が聞こえた気がした。
とにかく、お店に入ろう。
中に入ると、人は疎らだった。閉店が22時なので、後20分ほどしかない。
何で悟の声が聞こえた気がしたんだろう?
2階に上がってみたが、恐らくサイン会場だったろう場所も、すっかり片付いていた。そのすぐ傍に、10冊ほどだけ悟の本が置かれていた。
私は、本を手に取って、レジに向かった。
自業自得だ。せめて、この本を悟からの最後のラブレターと思って読もう。
お金を払おうとした時、後ろから声を掛けられた。
「すみません、宮本先生のファンの方ですか?」




