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作戦執行③

空が少しずつ陽に照らされはじめ、鳥たちが陽に向かって羽ばたいた。


雲一つない晴天。僕らの体をさらに熱するように南風が吹いてきた。


「君たち準備はいいですか?」


耳栓みたいな小型の無線トランシーバーから佐々木さんの声がする。


四条御所ビルの周りには、緑色のテントやトラックが配置さており、そこには白い文字で「六波羅探題」と記されてある。


その中の一つから、佐々木さんは指示を出す。


覚悟はしていたが、これが僕らの初陣(ういじん)


武士として、軍人としての一歩を僕らは歩む。目的は違うが、結果としては、そういうことになる……。


僕らが今来ている戦闘スーツの胸元に刻まれた「六波羅探題」の文字。


それを見て、さらに緊張が高まる。僕らの背中には、重いものが乗っかっている。先人達が築き上げた名誉とそれを守る責任である。


しかし、そんなものは僕にとってどうでもいい。僕は助けたいだけだ、愛する人を。


「全員配置についたようですね。それでは……」


心臓がマシンガンに撃たれたかのように高鳴る。


「作戦開始!」


その言葉が発された途端、六波羅探題軍は全員耳を塞いだ。


すると、一親さんは、自身の銃をビルに向かって構える。すると、光る粒子がパラボラの形を形成した。


「いきますよ!」


空気が歪むように振動し、悪魔の囁きのようなノイズが飛び出してきた。


ビルからは阿鼻叫喚、悲鳴が聞こえてくる。


そしてすぐに、直義が前線で、ガンランスを構える。


今、あいつがつけているメガネには、人が赤く、ヴァサラが黄色く映るようになっている。


ビルの最上階には四人、首謀者と人質二人であろう。それより下の階には、まばらに十数人が散らばっている。


そして、そのビルの真ん中……誰もいないところをガンランスの先は捉えた。



「うおおおおおおおおおッッッ!!!」


そして、先端部分が開き、大きな光弾が一発放たれた。


その光は空気抵抗やビルの強度すら無視して、天に向かって真っ直ぐ進む。


ビルの十階部分は、粉々に破損し、それより上の部分が引力によって地面にたたき落とされそうになる。


「行くぞ、高氏ぃ!」


義貞はそう言うと、僕を片手で抱えて音速で、走り出す。


直義の隣を駆け抜けると、幾多ものシールドで作られた階段が現れる。もちろん、直義のものだ。


それを二段飛ばしで登るように、まさにこちらに倒れるビルに向かって駆け昇った。


そして、義貞は、剣で最上階の窓を破壊し、そのまま、中に飛んで入る。


中では、 やはり、手錠をかけられた二人の少女と、首謀者である土岐や多治見の姿があった。


土岐と多治見は、落ちないように柱に掴まり、入ってきた僕たちを見て、恐怖を抱いたのか口がガタガタと震えていた。


局さんとセイナちゃんは、元々落ちていく方の壁に寄りかかっていたので、大した怪我はなかった。二人は気絶させられているのか、眠っていた。


ノイズも一定のヴァサラ支配率を持つものしか、反応しないように配慮したため、動けるということは、ここの四人には効果がなかったようだ。


そして、義貞に下ろしてもらった僕の足元には、彼らのヴァサラが落ちてあった。



これであの二人を「処罰」することはできる。



……だがそんなことする気はない。


それは佐々木さんたちの仕事であって、僕の仕事ではないからだ。


「僕は局さんを抱えて脱出する! 義貞はセイナちゃんを!」


「おうよ!」


僕は、局さんを抱えてから、足元のナイフ型のヴァサラを手にして、窓から飛び降りた。


▷▷▷▷


(どうやら作戦は成功したようですね)


モニターに映る、半透明の階段を降りる二人の姿を見て、佐々木は一安心とばかり、ため息をついた。


今回は予想外のことが起こった。


人質を、それも六波羅探題のホテルから連れ出すとは、誰も想像がつかなかった。


(これは六波羅探題のホテルのセキュリティを高めなければ……と思いたいところだが、あそこは国内トップのセキュリティを誇っていてそれを破ることなど不可能であったはずだ。


……どうやって彼らは、二人をホテルから連れ出したんだ?)

















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