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内通者④

ホウ……ジョウ……○○ス……。


誰だ?


ホウジョウ……コ○ス……。


誰だよ!? お前!?


また僕の体の中から声がする……。


タイラ……コロ……○。


いや、僕の体中から声がする……。


タイラコロス。


お前は……誰なんだ……?


僕の意識はそこでプツンと切れる……。


▷▷▷▷


「…………」


登子は、ビルの屋上からエレベータで一階まで降りる。


光の斬撃……生身の人間があれを食らったら一溜りもない。


しかし、死ぬまでの威力で放ってはいないから、きっと高氏は生きているだろう。


近距離ではヴァサラの主導権を握られるため遠距離の攻撃が必要だった。


登子のヴァサラが太刀であることから、遠距離攻撃ができないとくくったのが高氏の誤算だった。


登子の太刀は、粒子をためて放つことができる遠近両用の武器なのだ。


彼女しか待っていない稀に見る武器で、実用化もここ数年で、今現在、適応者は登子のみである。


このヴァサラについては、極秘情報となっていたので、高氏が知らなかったのも無理はない。


エレベータのベルが鳴り、金属が音をあげながら、開く。


そのまま登子は出口に向かい、透明の壁越しに、高氏を包んだ黒煙を見つめる。


登子は自動ドアを通り抜け、電灯に照らされるアスファルトの上に立つ。


遠くにある黒煙は、今もなお舞い上がっている。


それは、風のせいか、少しずつ登子のほうに近づいて行く。


それを振り払おうと登子が太刀を振りかざしたとき、あることに気づいた。


黒煙を形成している物質が、アスファルトではなかったのだ……。


よくよく考えればそうだ。


エレベータで屋上から戻ってくるのに、舞い上がる煙が消えるまで十分な時間が合った。


なのに、煙は、屋上にいたときと、ほとんど同じ形を保っている。


それに、この煙はおかしい……。


チリは落ちることなく空中に漂っている……。



(ヤバい!)



登子が気づいたときには遅かった。


そのチリはムチのような形を形成し、太刀にぐるぐると絡まる。


「コ……ス……ホウ……ウ……ロス……」


そして、黒煙の奥から黒い黒い手が飛び出してきて、登子の両方の二の腕を掴む……。


「ぐっ!」


登子は必死になって抵抗するが、それは全く離れる気配がない。


「ゴ……ロ゛……ス……タイラ……」


先程から、低いドスの利く声が黒煙の中から聞こえてくる……。


その声のするほうへ、登子が目をやると……。


黒い煙から、二つの赤い光が、見えた……。


「見ィイ゛ツゥケタァ゛ァ゛ァ゛」


煙が弾け飛び……中から、憎悪の表情を浮かべた高氏が現れた……。
















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