少女と謎③
とりあえず鎌倉駅に着いた。
やはり、鎌倉は人の数が違う。
わずかなスペースを頼りに僕らは前に進んで行く。
京行きのリニアモーターカーがあるのは、1番ホーム。僕らがいる7番ホームとはかなりの距離がある。
なのに、僕らのチケットには、0番ホームに来るように書いてある。
でも、チケットに書かれている地図を見ると、旗が立っている場所(行き先)は、1番ホームである。
これがどういうことなのか、三人で話したが答えに辿り着くことはなかった。
しかし、行けば分かる話だ。そう慌てることではない。そう言い聞かせた。
とりあえず1番ホームに向かう。人混みの中を歩くには、リュックサックは、周りの邪魔となる。
リュックサックは、僕が右に曲がると、左に、僕が左に曲がると右に曲がってしまう。
僕は気を使う性格のため、人を避けようとするが、その結果、リュックサックが人に当たってしまって迷惑をかけることがしばしばある。
なんて言うことの聞かないやつなんだろう……。
そうやって、苦節すること十分後、やっと1番ホームに着いた。
「おっ、高氏だ!」
褐色、半袖、短パンの少女、ミスボーイッシュの加賀が大きく手を振っていた。
その後ろには、「1」と大きく書かれた壁に腕を組みながら寄りかかっている義貞。
小さい体に似合わない、大きなリュックサックを背負っている登子ちゃんがいた。
「おはよう、皆。これで、全員揃ったのかな? 加賀、0番ホームってどこなんだ? 僕たち分からないんだけど……」
「それがあたしたちも分からないの」
さて、どうしたことやら……。
地図を見たところで、僕たちが今いる場所が集合場所だ。
でも、0番ホームは見当たらない。
鼻の下に手を当てながら、考えていると……。
「皆サン、集マリマシタネ!」
僕らが声のほうを見ると、人間型ロボット(ヒューマノイド)が立っていた。
「高時様ノ使イデ来マシタ! 私ニ付イテ来テクダサイ!」
流石に、喋り方はぎこちないがそれ以外の仕草は、まさに人間そのものだ。
僕らは、彼女(?)に付いて行くことにした。
▷▷▷▷
階段を上がって1番ホームに来たが、やはり、0番ホームなんてものは見当たらない。
「どこにあるんだ? 0番ホームなんて」
ロボット相手に、腕を組んで義貞が圧力をかける。
まあ、流石の高性能ヒューマノイドも、鈍感といより感じるのが難しいので軽く受け流す。
ヒューマノイドが真っ直ぐ進むと、自動販売機が、柱に沿って、そこに立っていた。
ヒューマノイドが自動販売機のICカードリーダーに手のひらをかざす。
すると、そのリーダーが黄色く光った。
あれ? 普通は、緑色に光るはずだが……。
すると、自動販売機が右にズレ始める。
そして、柱に下への階段が現れた。
「デハ、降リマショウカ!」
僕らは、互いに顔を合わせてから、下へと降りようとする。
「は、恥ずかしい……」
隣の僕にしか聞こえないくらい小さな声で本音を漏らす……。
隣の局さんを見ると顔を赤くしていた。
まあ、それもそうだ。
僕らは、周りの驚きで開いた目に見つめられながら、階段を降りて行ったのだから……。




