表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/111

高義④

「んッ? なんだッッ!?」


引き金を引いた男が驚いたのも仕方ない。


なぜなら、引き金を引いたはずなのに、光弾(こうだん)が発射されないからだ。


何故、発射されなかったのか……。



理由は、単純明快だ。


僕がハッキングしたからだ。


彼の銃を乗っ取り、僕の足元にシールドを展開する。


彼だけではない。その場にいる全員のヴァサラの主導権は僕にある。


それぞれのものから、発動させたシールドは、歩道橋の上から地面に向かって、階段を作り、僕はそれを降りていく。


下を見ると、皆、自分のヴァサラが思い通りに起動しないことに慌てて、僕が降りてることに気づいていない。


その隙に、僕は、光の階段を降りて、悪党のトラックの荷台にたどり着く。


その音で、やっと皆は、僕の存在に気づいた。


「なんだ、てめえ!?」


「おい、あの学ランは、鶴岡高校のやつだぞ!?」


「クソッ!」


悪党の一人が、(ふところ)から、ヴァサラではない普通の拳銃を取り出し、僕に向かって射撃する。


だが、そんなものは、僕には通用しない。


銃弾は、発動させた光の壁にぶつかって地面に落ちた。


さてと……そろそろ、捕まえるか。


僕は、神経を集中させる。


そうすると、悪党一人ひとりの目の前に、真上に、後ろにシールドが発動された。


そして、そのまま悪党たちを光の箱に閉じ込める。


「おいッ! 開けろ! 開けてくれ!!」


「助けてくれッ!」


箱の中から、悪党たちの悲鳴が聞こえる。


その声がだんだん、だんだんと小さくなっていき、最後には聞こえなくなった。


シールドを解除すると、悪党たちは、気絶して、地面に倒れ込んでいた。


▷▷▷▷


「ご協力ありがとうございます」


警官が敬礼をし、僕に感謝の意を述べてきた。


悪党たちは、手錠をかけられ、そのまま複数の犯人を収容できる輸送車に乗せられている。


「しかし、彼らは何故気絶したのでしょうか?」


「ただの酸素不足ですよ。さっきのシールドでできた箱の中の空気を薄めて、真空に近づけていったんです」


それが、僕が安全に彼らを捕まえる最も最善の方法だった。


なんせ、ここにあるヴァサラは銃だけ。


ムチなどがあれば、他の対処方法もあったが、僕は、生憎、ヴァサラを持ち合わせていない。



まあ、持ち合わせたくもないが……。


トントン。


肩を叩かれた僕が振り向くと、そこには、局さんがいた。


しかも、ムスッとした顔で……。


あ……しまった……。



今さらながら、自分の失態に気づく。


「すみません、勝手な行動してしまって……」


「怪我は?」


「え……あー、ないですけど……」


「良かった……」


彼女は、ホッとため息をついて、ムスッとした顔が朗らかな表情に変わる。


「びっくりしたよ、急に飛び込んだから……。心配するでしょ?」


「すみません」


「でも、無事で良かった……」


局さんは、僕と付き合ってから、態度がまるでお母さんのようになってきた。


それにしても過保護が過ぎるような……。


まあ、僕のことを考えてくれることはとても感謝している。


「というより、今日は、早く帰らないでいいの?」


彼女の質問が、沈黙を導く……。


あっ…………忘れてた…………。


「兄貴ー!」


上から声がするので、顔を上げると、は直義


「何やってんのー? 先に帰ったんじゃないのー?」


「ごめーん! 野暮用があったからさー! 今、そっち行くよ!


すみません、お巡りさん。僕、用事があるんで、行きます」


「あっ、そうですか。ご協力ありがとうございます!


ちなみに、用事というのは……」




「友達と家でパーティーをやるんですよ」


そう、あの事件以来、久々に皆が集まるのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ