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高義

足利高義(あしかが たかよし)……僕の兄であり、この国最強レベルの戦士である。


その実力は、高校時代から発揮され、鶴岡高校初の一年生での生徒会長就任を成し遂げた。


この学校の生徒会長は、武力、知力の両方がトップレベルの者だけがなれるのだ。


現在、執権である赤橋守時(あかはし もりとき)さんも、生徒会長であったが、兄さんには勝てないと言っていた。


実際に、前回の事件の解消には、兄さんが大きく貢献している。


兄さんは、僕が耐え抜いてくれたからできたと言っていた。これはお世辞や謙遜ではなく、本気で言っているのだろう。


しかし、僕はそう思わない。病気であった高時さんを無理を言って協力してもらい、兄さんの武力面だけでなく高時(たかとき)さんの権力面から圧力をかけることで、守時さんを逃がさずに済んだのだ。


その高時(たかとき)さんを説得できる人間などこの国において兄さんしかいないだろう。


プライベートでは、どんな人間かと言うと、おちゃらけた、ふざけた、人懐っこい態度をとっている。


僕が帰宅してリビングに入った瞬間、いきなり抱きしめられたこともある。


直義が筋トレしているときに隣でラジオ体操をして邪魔をしてきたこともある。


加賀が家に来たとき、「いらっしゃませ、お嬢様」と、何故か執事のコスプレで待ち構えていたこともあった……。


なのに、仕事や知らない人との対応になると、口調、声質、表情が全て変わり、大人な雰囲気を醸し出してくる。


その変貌ぶりには、いつも驚かされる。


ちなみに、局先輩は、初対面で「仕事モード」の兄さんに、会ってしまったが故に、「通常モード」の兄さんを見て、脱帽していた……。


だが、どちらが本物とかではなく、どちらも本物なのだ。


兄さんは真面目で堅実で誠実だが、気が抜けていてお茶目で愛嬌があるのだ。


そんな兄さんは僕とは八つ歳が離れている。というのも、兄さんは父さんの正室、僕と直義は側室の子どもなのだ。


で、その正室の人は、北条家の人間だからか、とてもプライドが高い。それも富士山並みに高い。


一方、先程も述べたように、兄さんはおちゃらけた性格で、プライドなんてものを持ち合わせてはいない。


二人は、実の親子だが、性格も反りも合わなかったのだ。


それで、兄さんは、高校に入学を期に、今の家に移動したのだ。


僕と直義も、父さんやその正室と一緒の家にいるのが辛くなって、兄さんについて行ったのだ。


今は、仕事でしか、兄さんは両親に会わない。兄さんにとって、二人は「ただの仕事相手」に過ぎないのだろう。


今の家に来てから、兄さんは色々なところに、僕たちを連れて行ってくれた。


今まで好きなところに遊び行ったことない僕らにとっては、それは大冒険と言えるものだった。


水族館で、クラゲを見たのも、兄さんが連れて行ってくれたのだ。


そのおかげで、僕たちはたくさんの良い経験をすることができた。


そして、忘れることができない良い思い出を手に入れることができた。



長くなったが、要するに……僕は兄さんのことが好きなのだ。




いや……恋愛対象ではなく、ですよ?






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