Blue Scream⑥
「なんでかって?」
直義は守時の質問に答える。
「一緒に集中治療室にいたどこかのバカ義貞が、扉壊してどこか行くからついてきたらこのあり様ってことだよ」
「バカとなんだ、この野郎……」
守時がいなければ喧嘩しているだろうが、今はそんなときではない。
この罪人をどう処罰するべか。それを考えなければいけないのだが、それは「お上」の仕事だ。
だから、三人がやるべきことはその「お上」にこの罪人を献上することなのだ。
「一緒に来てもらおうか? 流石に、俺と義貞二人相手に勝てる見込みなんねーだろ?」
「そうだね〜。無理だね〜」
守時はキッパリと断言した。
頭にランスの先を向けられたまま、守時はテレポーテーション装置の場所に行くよう命じられる。
その指示に従い、守時はその場所まで案内する。
そこには、円状の装置があった。
「あれがテレポーテーションの装置か?」
「そうだよ。あのスイッチをポチッと押したら、私が観戦していた場所に移動することができる」
「分かった。加賀さん、スイッチを押してもらっていいかな?」
「分かった」
加賀はすぐにそのスイッチのところに行く。
「行くよー!」
加賀はスイッチを押す。すると、床がビリビリと電気を発し、体が段々と透明になっていった。
その現象に直義が驚いていると……。
「スキあり!」
守時は直義を押し、装置の外へ追い出した。
「残念でした〜! 私を捕まえることは誰にもできませ〜ん! さらば! 断頭台で会おう!!」
「この野郎ッッ!!!」
直義の叫びも虚しく、守時は消えていった。
「どうするんだ!? 逃げられるぞ!」
「早く追わないと!」
「大丈夫ですよ。落ち着いて」
直義は体に付着したホコリを払う。
「手筈は整えてありますから」
▷▷▷▷
テレポーテーションした守時は、ふぅと安堵の表情を浮かべ、息を吐く。
(見つかってしまったのは誤算だが、仕方ない。あの三人を悪者に仕立て上げて処刑すればいい話だ。
とりあえず、今はこの場を去ることを考えなければ…………あれ?)
気がつけば守時は銃型のヴァサラを持った男数人に囲まれて、しかも銃口を向けられていた。
「あれ? どゆこと?」
「こういうことですよ、守時先輩」
その男たちの背後から、高義が現れた。
高義は、左手にヴァサラ、右手にケータイ電話を持っていた。
「事情は直義から聞きましたし、先ほどの会話も聞かせてもらいました」
直義は、加賀と義貞が協力しているのを見て、只事ではないことを感じて、予め、高義に連絡しておいたのだ。
高義も、守時の悪事を止めるための手筈をしており、電話を繋げて実況しながら加賀たちを追うように直義に指示したのだ。
そして、案の定、守時が現れたというわけだ。
「なるほどね。お見通しってわけだ」
先程と打って変わって低い、冷静な声になる。
「でも、どうするの? 僕を殺したところで悪者になるのは君だよ?」
「悪者にはなりませんよ」
「じゃあ、どうするの?」
「こうするんだよ」
(ん?)
高義ではない、誰かの返事に守時は動揺する。
「誰だ?」
すると、扉が開き、車椅子に乗った中肉中背の青年が現れた。
「え? 嘘?」
そこにいたのは元執権、北条高時だった。
「病院にいるんじゃ……」
「こんな大惨事に、安心して眠れなくて、やってきたんだよ」
高時は執権を辞めたものの、未だに大きな権力を所持している。その高時がいない内に作戦を遂行させようとしたのに、高義が現れた。
それは、この計画は完全に失敗となってしまったことを意味した。
「お前の負けだ。後で、お前の処分について考える」
守時は膝から崩れ、絶望の表情を浮かばせた。
こうして一連の事件は解決とは言えずとも、やっとのことで解消されたのであった。
▷▷▷▷
「事件は解消し、守時さんも謹慎処分を受けました。これもあなたのおかげです。ありがとうございます。お疲れでしょうから、ゆっくりとお眠りください」
僕は玲さんの墓の前で手を合わせて追悼の意を述べる。
僕以外にも局先輩、加賀、直義、義貞、一親さんが手を合わせた。
それぞれ様々な想いを彼女に抱いていた。
そんな愛される存在がいなくなってしまったことは本当に悲しいことだ。
剣舞大会で僕は優勝し、高時さんが「優勝したあかつきに、何でも願いを聞こう」と言った。
いきなりそう言われると中々決められないのが普通だが、僕の願いはすぐに決まった。
「越前局さんと安田一親さんを引き取らせてください」
それが僕が今一番叶えて欲しい願いだった。
高時さんは驚いた表情をしていたが、ちゃんと有言実行してくれた。
局先輩は、足利家の客人として居候し、一親さんは、足利家に仕えることになった。
一親さんは、安田玲さんの遺伝子を使って作られたいわばクローン人間である。
剣舞大会に安田玲が出場することが知られないために、安田一親という人物を偽り、証拠として、その存在そのものを守時さんは作り出したのだ。
玲さんをもとに作られたという点に関していえば、一親さんは局先輩の弟ということになるだろう。
一親さんは言っていた。
「玲さんは苦しんでいた。
玲さんは、高氏さんや局さんの情報を守時さんや登子さんに話すのが役目だった。
だから、高氏さんを苦しめることに加担していることを本当に悔やんでいた。そして、そうせざるをえない状況を恨んでいた。
いつか、償いたい。そう彼女は思ってました。
だから、玲さんの代わりに、僕がそれを償っていきたいと思います」
償いなんて……そんなのお釣りが出るくらいもらった。
玲さんがいなければ僕も義貞も強くなることはできなかった。
僕のヴァサラが灰になったのも、僕が二度と争いに行けないように、玲さんがやってくれたのだろう。
これからもたくさんの困難がやってくると思う。
逃げ場のない状況がまたやってくると思う。
でも、僕は、かっこ悪くても、それを乗り越えようとするだろう。
楽しくても、悲しくても、抗い続けるだろう。
青く叫び続ける。
僕はそう決めたのだ。
そう決めることができる前向きな思考を持つことができたのだ。
玲さんのおかげで。
▷▷▷▷
「ねぇ? 高氏くん」
「なんですか、局先輩」
「私と……付き合ってくれませんか?」
「……はい……喜んで」
「ありがとう……嬉しいよ……」
「僕も嬉しいですよ。すごく、ものすごくです」
これでいいんですよね?
僕は夜空を見上げる。
そこには相変わらず満天の星空があった。
そして、一つの流れ星が儚げに消えていった。
ブルスク第一章、どうでしたでしょうか?
歴史上の偉人の名を持つ少年少女のSFもの。そんな新しい物語を作るのに、四苦八苦したのが、今ではいい思い出になりました。
そんな作品をなぜ作ろうと思ったのか? きっかけは些細なことでした。
二〇一六年の三月。私は友人と鎌倉旅行に行ってきました。その旅行が終わったときに、「もう少し調べとけば良かったね」と友人と反省しました。
そして、次回は京都に旅行することになったため、今回の反省を活かして、京都のことを調べました。
まず初めに、その中で、有名な建築物である金閣寺を調べました。
金閣寺といえば足利尊氏が建築したものとして学校でも習いました。
そこで、私は、「足利尊氏を調べれば、隠れスポットが見つかるかもしれない」と考え、尊氏について調べました。
すると、尊氏という人物の魅力に私はどんどん惹かれていきました。
そんな尊氏の話が書きたい。
しかし、中高生といった若い人たちも多い「なろう」の人達がバリバリの大河小説について来ることができるのか……。
そこで閃いた発想が「自分の好きなSFの要素を入れよう!」というものでした。そうすれば、もっと受け入れやすいと考えたのです。
それが是非、成功していればいいなと思う今日このごろであります……。
次章は、ついにこの時代で人気ナンバーワンの武将、「楠木正成」が登場します。
引き続きご覧ください!
又、是非とも感想よろしくお願いします!




