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義貞④

加賀がテレビをつけると、すでに直義とその相手は定位置についていた。


直義が手にしていたものは、円錐の形をした西洋の武器……ランスである。


まさに鉄壁の防御と相性の良い武器であろう。


加賀はテレビ画面に顔を近づけ、目を細めて、相手選手が誰なのかを確認する。


「直義くんの相手は……大仏貞直(おおらぎさだなお)さんか……」


「おー、北条家の血縁がついに出てきたか」


「たしか、高義さんが生徒会長だった頃、生徒会、もとい鶴岡高校で、最も強固な鉄壁スキルを誇っていたらしいですからね。


鉄壁対鉄壁か……」


「しかも、大仏って言ったら、ヴァサラが飛び道具じゃなかったか? 厳しい戦いになるぞ」


二人は画面の向こうの戦いを見守った。


▷▷▷▷


「始めッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!」


二人は互いに睨み合うが、一歩も動かない。


防御中心の武士は、相手の攻撃にどうカウンターをするかが重要視し、先手を打とうとはしないのだ。


だが、それは近接格闘での話……。


大仏は違った。


右手の銃を直義に向け、彗星の如く、一線の光を放った。


それは鉛の弾とは違い、等速直線運動に素直に従いながら、目にも留まらぬ速さで空中を駆け抜けた。


空気を切る音が観衆の耳を(つんざ)く。


直義は即座に光の来る方向にシールドを展開する!


バチッッッッッッ!!!!!


まるでカミナリが落ちたような爆音が鳴り響いた。


シールドには波紋が描かれ、今にも貫かれそうだったが、なんとか光が消えるまで持ちこたえた。



しかし、光は一発では終わらなかった。


大仏は、もう一度銃を構え、光を放った。


(さっさと終わりにしてやる!)


何発も何発も、大仏は直義を中心とした円を描くように走り、様々な角度から打ち込んだ。


(この威力を抑えるには、シールドを濃縮しなければいけない。だけど、こんなに撃ち込んでいたら、シールドが間に合わずにダメージを受けるだろう)


そんな策略が、彼の頭の中にはあったのだ。


休む瞬間も与えずに何度も……何度も何度も何度も、大仏は撃ち込んだ。


そして、直義の周りを二周半ほどしてから、撃ち込むのを止めた。


「はぁ……はぁ……流石にこんなに撃ち込んだから終わったろ?」


何発も撃ち込んだ光がシールドにぶつかった衝撃で、地面の砂が上空まで舞い上がる。


大仏は、にやけながら、その中から直義を探す。


横たわった影を見つけようとした。


粉塵が薄くなる頃、少しずつ黒い影が見えてきた。



ただ、その影は試合の始めと変わらずに、一歩も動かないどころか、眉一つ動かさないでいた。


まるで何事もなかったかのように。


「……ッッッッ!!!!!!!!!!」


大仏は、視力2.0の目を疑った。

しかし、目の前にあるのは、事実だった。


直義は、半球のシールドの中で、だるそうに立っていた。


(おかしい! あんなに大きなシールドで俺の弾が貫かないわけがない!)


目の前の事実は、大仏の頭の中をかき混ぜ、混乱させた。


直義が大仏のいるところに上半身だけ振り向く。


「あー、そこにいたんですか……」


大仏は、その姿に恐怖し、一発光を放った。


その光はシールドにぶつかった。


その瞬間……その光が当たったところだけ、黄色が濃くなっていった。


光は貫きそうだが、貫けない。



そんなギリギリの耐久度に変更しのだ。しかも、その光が当たった部分だけ。


(あんなの、見たことないぞ! シールドの一部だけ強化? しかも、当たった瞬間、即座に攻撃の強さに応じて?)


それは、学年トップ、いや全国トップの演算能力を持つ直義だからこそできる所業であった。



「くッッッッ!!!!!」


大仏は直義のところへ特攻する。


ヴァサラ粒子でスピードを上げていないにしては、大仏の足は速かった。


すぐに、直義へ飛びかかる!


直義は左手のランスを大仏に突き刺した!


だが、当たり前のように、大仏は赤子の顔ほどまでに濃縮されたシールドでランスをカバー。


(待ってたよ)


ランスを突き刺すために邪魔だったシールドを消去し、さらにはパワーに集中しているため、直義の守りは完全になくなっていた。


大仏は、銃口を直義に向ける……。


「じゃあな」


大仏はシールドに半分集中させているが、この至近距離なら、半分の力が残っていれば十分だった。


流石の直義もこんなに近距離ですぐに防ぐことはできないだろう……。



だがそれは……「放たれたら」の話しである。



銃口が完全に直義を捉える前に……。



ガシャン……。


と、ランスの先が四つに割れ……その中から

大きな銃口が顔を出した。


そして、観客の誰かが、声を漏らした。


「ガンランス」


と……。


だるそうな顔は、そのままだるそうにつぶやいた。


「お疲れさんです」


その銃口から放たれた膨大な光は、シールドを、金魚すくいの網を濡らしたように、たやすく破り、大仏を包み込んだ……。










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