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夢現⑧

僕は二段飛ばしで階段を上る。


その手紙には、ある場所に来るように指定されていた。


そこに昼休み以外で行くのは初めてだった。


そう、生徒で僕だけがそこへの鍵を持ってる、加賀と昼飯を食べている、屋上だ。


いつものように扉の鍵を開ける。


僕は扉の向こうは、昼と違って少し静かだっだ。外でスポーツをして遊ぶ人もいなければ、ノリノリで荒々しくギターを引く軽音部もいなかった。


眠そうに歩く人だかり、今の校庭にはそれしかいなかった。


僕は周りを見ながら前に歩き出す。

周りには特に人はいなかった。


しかし、妙だ……。


今日の天気は快晴。太陽が僕たちの需要以上に熱を供給していたはずだ。


そして、ここは屋上。学校はビル群から少し離れているから周りには日の光を遮る者はない……はずなのに、




なんでこんなに暗いんだ?




すると、ガッシャーン! と音がした。


そこには刃がない刀があった。つまり柄だけが落ちていた。


不思議に思いそれを拾うと……。


キーーーーーーーーーーーーーーン……。



ズドォーーーーーーーーーーーーンッッ!!



まるで砲弾が撃ち込まれたような怒号がなった。

屋上に煙が舞い上がる。


僕は一体何が起こったのか理解できなかった。


ただ一つわかることは、殺気が近づくの察知して、僕がバリアを発生させたことだけだ。


……………………………………。


待て、なんで僕はバリアを発生させることができたんだ? あれはヴァサラがないとできないはずだ。

しかも、僕が扱えるヴァサラなんて存在するのか?


「やっぱり、それはあなたにしか使えないようですね」


煙の中からあざとい笑顔が浮かび上がる。

桜色のバトルスーツにまとわれた小柄な体型には、似合わない3メートルはある太刀を彼女は軽々と持ち上げている。


本当、顔は可愛いんだけどな……。


「すごいですよ! た・か・う・じ・せ・ん・ぱ・い!」


「君だったのか……登子ちゃん」


「私の愛だけでできたラブレター届きましたか?」


「残念ながら僕には悪意しか感じられなかったよ」


「それは残念です……。こんなに愛しているのに……」


「その愛している人に刃を向けたのはなんでだ?」


「だって本当に強いか確かめたかったんですよ〜!」


「はい?」


「わたし、強い人にしか好きにならないようにしてるんで! あと、家柄ですかね? だから先輩はパーフェクトです! それに……」



それに?



「そのヴァサラをすぐに使いこなしたんですから」


ヴァサラ? これが? この刃もない柄だけの刀が?


「それを使いこなせる人はなかなかいないよですよ? 流石私の愛する人!」


「ふざけるな。表面ばかりしか見てないじゃないか」


「強い雄を求めるのは雌の本能ですよ?」


僕は頭を抱える。怒りを通り越して呆れた。


理性を持った人間の発言とは思えない言葉に、だ。


「で、返事は頂けますか?」


「もちろん、お断りだ。君みたいな中身のない子とは付き合えない」


僕は薄々この子が猫を被っていることには気づいていた。輝く笑顔の奥に、影のようなものがあるのを感じたのだ。


「それは残念です……しくしく」


「それはともかくあの内容はなんだ?」


そう、僕はずっとそれを聞きたかった?


「内容?」


「セカイを手に入れるって……どういうことだ?」


「あー、そうでした! 兄様には言っちゃダメって言われたのに……」


彼女は大げさに、ガッカリする。


「どういうことだ?」


「あれを見れば分かりますよ」


彼女は真上を指差す。


僕は空を見上げる。



そこには、巨大な飛行船があった。


妙に暗かったのは、これが陽の光を妨げていたからか。


それには巨大なモニターがついていて、登子ちゃんが「ポチッとな」と言ってリモコンのボタンを押すと、映像が流れた。


そこには兄さんから聞いていた記者会見の様子が流れていた。


まだ、会見の席には貞顕さんの姿は見られなかった。


"扉が開きました! どうやら始まるようです!"


報道官の声が響き渡る。


画面の右側から、数人の男たちが入ってきた。


そして、席の中央。


そこに、次期執権となる貞顕さんが……いなかった。



僕は衝撃で目が大きく開く。



中央に座った青年が「あざとい笑顔」で話し始めた。



「どうも、次期執権になることになりました。赤橋守時です」









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