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新たなスタート

あの大事件から三日後。


僕の家で兄さんの葬式を(おこな)った。


慣れないスーツを着た僕と直義が兄さんと最後の別れをした。


父さんは「親より先に逝くなど、なんて親不孝者」と哀しみ。


兄さんの母親も「ごめんなさい……弱い体で生んでしまって……」と自らを責めていた。


母さんは出席をしたものの、子どもである僕たちと目も合わせることなく、まるで僕たちを空気のように扱っていた。


その方がこっちとしては、ありがたいのだが。


結局、あの事件は、(みかど)と関係なく、自称・首謀者が捕まったことにより収拾がついた。


しかし、「きっと尊治(たかはる)皇が関係しているに決まっている」という噂が広っており、完全にバレバレである模様だ。


あれから、正成(まさしげ)くんは何をしているのかな?


気になるが知るよしもない。


きっと、今も己の正義のために何かしら動いているのだろう。


僕もこれからは自分の正義のために動かなければならない。例え、それが偽りだの、誤りだと言われても、だ。


「直義」


「なんだい、兄ちゃん」


「僕について来てくれるかい?」


「当たり前だ。今や、兄ちゃんは、この世でたった一人の俺の兄ちゃんなんだからな」


「そうか……ありがとう」


すぐ側に、味方がいてくれる。これだけ心強いものはない。


僕は最後にこう言って兄さんとお別れをした。


「あとは僕に任せて」


皆に見せなければいけない。僕の決意と覚悟の証明を。


それが兄さんとの約束だからだ。



▷▷▷▷


場所は、京。


豪華絢爛な宮殿。


一人の漢が、目を覚ました。


最近まで寝つけが悪いせいで、機嫌も悪かったが、昨日は珍しく寝つけが良かった。


そして、彼は「良い」夢を見た。


「お目覚めですか?」


執事がそう聞くと、「うむ」と一言だけ返す。


「今日は、良い夢を見た」


「良い夢?」


「神からのお告げ、だ」


「それはどのような?」


(くすのき)の木の下で、神が『この木がそなたの大きな力になるであろう』とおっしゃったのだ」


「なるほど、それは奇妙な夢を」


「キサマは、楠と聞いて何か覚えはあるか?」


「いいえ、何も」


「そうか……」


漢が体をベッドから下ろそうとする、「そういえば」と執事が呟いた。


「河内の国に、謀略に長けた悪党がいると聞いたことがあります」


「ほう」


「その悪党の姓が楠木(くすのき)でしたな」


「何? そやつの下の名は?」


正成(まさしげ)。楠木正成でございます」


「楠木……正成……。今すぐそやつをこの館へ呼べ!」


「楠木をですか?」


「ああ。きっと、そやつが幕府打倒の切り札となるであろう」


声高らかに笑いながら、漢は廊下に向かった。


その漢に対して、執事はこう返事した。




「承知いたしました……尊治(たかはる)皇」



今回、第二章において、力を入れたのが「楠木正成(くすのき まさしげ)」というキャラを作ることでした。


楠木正成と言ったら、昔は子どもたちの英雄で、南北朝時代の武将で一番人気の人なのです。


自分の作家としての能力を試されている気がしてなりませんでした。


そして、決めたのが……。


「そうだ。正成をショタにしよう!」


というものでした。


これにはきちんとした理由があります。


正成は悪党、つまり正規の武士ではありません。


幕府がアイドルとしたら、高氏(たかうじ)たち御家人が公式ファンクラブ、悪党は非公式ファンクラブということになります。


そのため、悪党は御家人たちから「正規の武士じゃないくせに」と言われる立場でした。


その「正規の武士じゃないくせに」というその当時の御家人の考えが皆さんにどうやったら伝わるか。それを深く考えました。


すると、「この考えって、大人の『ガキのくせに』に似てない?」という発想にたどり着きました。


そうして、(自分の知る限り)世界初のショタ・楠木正成が誕生しました。


今回は、関わった相手が高氏などまだ子どもである人物が多かったため、そのような印象を抱くことは少なかったと思います。


次章では皇族のお偉いさん達との関わりが増え、ショタにした意味が現れると思うので、ご期待ください!



参考にするため、ご感想お待ちしております。



それではまた第三章でお会いしましょう。





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