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70、今更なテンプレ

ハルカ達が昼食を食べている頃、遠巻きに監視している者が居る。

先日 盗賊を差し向けた主犯の魔術師だ。


このまま 領主達が王都にたどり着けば彼女の立場は危うい。彼女は焦っている。


カサッ


「!。だれ」


「俺だぜぇ。ムムントだ。攻撃するなよ モーラン」


「脅かさないでよ。どうして貴方がここに?」


姿を現したのは 体をマントで包み 顔さえもベールで隠した男。

魔物を操る特技を持つ異色の魔術師ムムント。


モーランと呼ばれた女も作戦上 顔を隠しているが、彼のそれは任務に関係なく隠されている。一説では 魔物を操る為に 顔が魔物のように変形していると言われるが定かではない。


「お前さんと同じだよ。こちらも計画が失敗したのさ」


「まさか・・。魔物を使える貴方がしくじるなんて」


「ああ、途中までは予定通りだったがな・・。相手には かなりの強力な魔法使いが居るぜぇ」


「魔法かぁ、まどろっこしいねぇ。あんな奴等、それこそ魔法で燃やしてしまえば早いのに本国の奴ら現場の苦労を知らなすぎだよ」


「そいつは毎度の事だぜ。それより 俺と組まないか?。

お互い このままでは帰れないだろ」


「それは助かるけど、何か当てはあるのかい?」


「勿論だ、一人だとキツイが、あんたとなら上手くいきそうだ。とりあえず この先に馬が用意してある。少し遠いが準備するには丁度良い。行こうぜぇ」


平素なら ムーランはムムントを恐れ、近寄る事も少ない。しかし、計画の失敗は おそろしい死に様を意味する。


「しょうがないね、その話 乗ったよ」


彼女の魔法は他人をけしかける扇動と、多くの存在にバフを加えるもので、一人きりでは出来る事が少なかった。確かにムムントの能力と掛け合わせれば 色々と出来るかも知れない。




****************




昼食後、結局 ルクライアス領主もフェルムスティアの隊列に加わる事となり、ハルカの乗る馬車を挟む形で二人の領主が進む事となった。


昼からは特に変った事も無く、護衛たちが退屈するほど平穏であった。

ゆえにハルカも馬車の中でゴロゴロしたり、シェアラやシシルニアとじゃれていた。


「・・・!、ハ ハ ハルカ・・」


「んー?」


シシルニアは ハルカを見つめて呆然としている。

その顔が 恐ろしい物でも見たかのような鬼気迫るものであり、思わず自分の顔を触って 確認してしまうハルカだ。



「見える、見えるのよ!」


「幽霊でも居るの?」


「違うわよ、そんなの見えたら悲鳴上げてるわ。

ハルカのステータスが 急に見えるようになったの」


「・・・まじ?」


「落ちも付かないボケはかまさないわ。本当よ」


異世界のテンプレたるステータスと聞いて顔が輝くハルカは、急にそわそわと何かを探し出し、ある物を取り出した。


「これに・・日本語で書いてみて。他の人が分からないように」


「懐かしい・・。ノートとシャーペンじゃない。こんなのまで持ってたのね」


シェアラとノロは、取り出した不思議なアイテムをキラキラした目で見ている。

シシルニアが文字を書き出すと感嘆の声を上げていた。

この世界の筆記具も 魔法で黒い顔料を取り込むボールペンのような物はあるが、魔法を使わずに書けるの物は珍しいのだ。



加賀 永遠(かがはるか) 

レベル・ 257

魔法使い

H P・ 55

M P・ *******

筋力値・ 12

耐久力・ 43

敏捷性・ 38

魔力値・ ******


備 考・ 封印を無効とした者・ イカサマギャンブラー・

     異界の転移者・ 精霊の友・ 大富豪・ 精霊の親友・

スキル・ 創作魔法・ 能力譲渡・ 転生の刻印



「今の私では これ以上細部の情報は見えないわ」


「・・・大事なところが分からない」


「前にも言ったでしょ。そんなに便利なスキルじゃないのよ。

そのうち魔法でやってみたら?。私より細かく分かるかもよ」


もう一度 書き出された内容を見てみるが、突っ込み処 満載のステータスである。

是非とも説明が欲しい。


「ほんと・・ハルカらしいと言えば らしいステータスよね。魔法に関するMPや魔力値は見えないって言うよりも測定不能だと思うわよ。それ以外は 普通の子供と大差無いわ。ただ・・レベルだけ見れば、バケモノみたいに跳びぬけてるからね」


一般人のレベルは高くても80前後らしい。


「むぅ・・ラノベと違って スキル少ない」


「普通の人は 剣術とか交渉術とか、ふだんの努力で身に付けたものがスキルで出る程度よ。生まれた時からスキル持ちは運が良い方ね。ハルカのスキルは全部 今まで見た事も無いユニークだわ。さすが 転移者、チートよね」


確かにハルカらしいステータスだろう。

彼の略歴のように備考が書かれているが、魔法でズルしてパチンコや競馬などしていたのでイカサマギャンブラーなのだろう。

スキルの創造魔法は ハルカの魔法全てが創造した魔法そのものだ。

誰かが教えてくれた魔法でも無いし、参考になる本が有った訳でも無い。

アニメやラノベで人々が夢見た魔法を 彼が再現したものばかりなのだ。

意味不明なスキルは ・・・今後の楽しみにする。


レベルに関しても納得は出来る。

軍隊蜂を殲滅した時から 異常に魔力の総量が上がっていたのを感じていた。

その後も 色々と山ほど倒してきたので かえって低かったら不思議なほどだ。

魔法関連の数値が測定不能なのも当然と言える。


むしろ、レベルが異常に高いと言う割りに 魔力関係以外が 普通の子供程度なのは納得いかない。

この時は さして気にしなかったステータスであるが、後にハルカが 魔法を開発してまで知ろうとするほど 記載されていない項目が有る。

そして、それが この世界の未来に大きく作用する重大な事でも有った。




夕方には待望の宿場町にたどり着いた。

ただし 一度に宿泊できる人数は限られ 結局ハルカ達も馬車で寝る事になる。

その代わり 久しぶりに普通の食事が出来るので、皆は自然とそわそわして 楽しそうな雰囲気になっていた。


一応護衛でもあるハルカ達はコルベルト達三人と 領主が宿泊する宿が見える食堂で 食事を頼んでいた。周りの人間も同じような面子なので、あまり変化を感じない。

先に来ていた者達は既に食べ始めているが 思いのほかテンションが低い。

ハルカは 自分が何もしないで食べられる食事に満足していたが、他のメンバーは食が進まないようだ。大人たちは 食事はほどほどに酒ばかり飲んでいる。



「おばちゃん、・・ごちそうさま。美味しかったよ」


「ありがとうよ。今回の客で喜んでくれたのは お嬢さんだけだね。

いつもは 旅の客が泣いて喜ぶほど、美味しそうに食べてくれるのにねぇ」ぶつぶつ


長旅で たどり着く客は、ずっと干し肉や硬いパンばかり食べているので、普通の食事は何でも美味しかったのだろう。ところが、ハルカの同行者は 屋外で美味しい肉などを存分に食べていたので 余程の料理でなければ満足しなくなっていた。



*************



そのころ、王都スティルスティアでは、近く行われる皇太子の成人の儀を目当てに人も集まり お祭りムードが高まっていた。

それとは逆に王城では 依然として行方が知れない王子を心配して関係者が神経をすり減らしている。


「宰相殿、先見(さきみ)の巫女より書簡が届きましてございます」


「おおっ、待っておったぞ」


皇太子の教師でもあり、お目付け役でもあるクラックス合衆国の現宰相モートリアムは、(わら)にも(すが)る思いで精霊殿に居る予見者にお伺いをたてていた。


彼の長い苦労を物語るように、頭の頂頭部はかなり寂しくなっている。

彼は珍しい黒髪であるため、余計にそれが目だってしまう。

まだ60代で 気力は衰えていないのだが、出会う人の目が必ず最初に行くのが頭であるためコンプレックスであり、彼のストレスの一因となっている。

王子の事で 胃潰瘍に成りそうな程 ストレスが貯まっている彼は、自ら足早に書簡を受け取り 封蝋を解いた。


[先日 依頼されましたる件、まずは心配無きよう。都より北東にて 大いなる守りと共に有り。有史以来 唯一なる存在との(えにし)により、御子は大いなる翼を広げ 偉大なる王の道を歩み始めるものなり]


相変わらず分かり難い文面では有るが、とりあえず最悪な流れは回避出来たようだ。

宰相は思わず胸を撫で下ろす。

クラックス合衆国は近隣に比べれば 平和で豊かな国である。

しかし、それが必ずしも磐石なものとは限らない。

今は落ち着いている継承問題も皇太子に何か有れば 爆発的に加熱し 一気に国内が混沌としたものに変るだろう。

宰相は となりの部屋で待機させていた 信頼できる騎士2人を室内に招き入れた。


「どうなされました。近隣の地図など広げられて」


「やんちゃなボクちゃんは 見つかったのかにゃ」


心労でハゲそうな宰相モートリアムはここに至って 王子捕獲作戦を決行する。


うー。筆が進まないです。

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