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4、楽には行かない 異世界渡航

いつものように、文才のない作者が楽しんで書いてます。

見直すたびに修正の嵐。今回のもいずれ手直しが入ると思います。

一発で完成された文章が作れる人は凄すぎです。

召喚の魔法陣に捕まって転移することになったハルカ。

日本の生活が気に入っていた彼は 膨大な魔力を使い必死の抵抗をした。

しかし、こうなっては大河に飲み込まれた木の葉と同じ存在である。


だが、(あらが)った甲斐はあった。


「お主は何者か、ここは生者の来るところではないぞ」


ふと気が付くと目の前に老人がいた・・

いや、居ると思い込んでいるだけかも知れない。


(俺を呼びつけたのは・・あんたか?)


「ふむ、なかなかの強い力を持っているようじゃな」


(そんな事は聞いてない、どうなんだ)


「そう殺気を向けるものではない。ここは天寿を全うした者達が通過する場所じゃ。じゃから、生きておるお主を呼ぶはずが無い。お主はたまたま この場所に引っかかっただけじゃよ」


ラノベで出てくるパターンの「ドジな神様による転移」であるなら、残る力の全てを使い 目の前の存在に一矢報いるつもりであった。


(そうか・・失礼した。いずれの神様かは知らないが許してくれ)


「御主ら生者(せいじゃ)の行いに干渉するのは部署が違うのでな、力にはなってやれん。

少なくとも、今の流れの中で元の世界に帰る方法は無い。すまんの

そうじゃな、これも縁じゃ。お前さんにはマーキングしておこう。

向こうの世界で死んでも地球に生まれ変わるようにしてやるぞ」


(・・不吉な予言、だな)


「ではの、早く行きなされ。肉体のエネルギーまで魔力に変換して抵抗しておるじゃろう。このままでは向こうの世界にたどり着くなり生命力が無くて死んでしまうぞ。そんな死に方では生まれ変わる事もできん」


(・・わかった。この怒りは呼び出した奴にぶつけてやるぜ。全力で魔法攻撃するのは初めてだけどな)


「ほっほっほ。いずれまた会おうぞ」


ほんの刹那(せつな)の出来事であった。




************




(おおっ、陣の色が変わってきた。

ワシの命が有るうちに呼ぶことが出来たようじゃ)


大きな天幕の中、中央には血で描かれた魔法陣がユラユラと輝いている。

その周りには 優秀な魔術師であった老婆の(むくろ)が満足した顔で鎮座していた。

その数は20を超え儀式の異常さを物語っている。


(多くの友が身命(しんみょう)を賭して願った事が成就せんとしておる)

唯一生きて儀式を司っている魔女は目に涙を浮かべ喜んだ。


「これほどの魔術師が全ての魔力を使い尽くして やっと召喚の(きざ)しが現れるとは、何と偉大な存在であろうか」


そう喜ぶ老婆とて 魔力は既に枯渇し、命を削って術を維持していた。

あと数刻ともたず 彼女も物言わぬ屍となるだろう。



いよいよ魔法陣の中央に光が形を織り成していく。

期待に反してそのシルエットは小さい。


しかし、見た目の大小で存在の強さが決まるわけではない。

むしろ姿が小さいのは魔力に傾倒している場合が多く、それこそが老婆達が待ち望んでいた力の持ち主である。


間も無く術が完了しようという寸前、魔法陣の一部が燃え上がり かき消されてしまった。


(あの部分は・・そうじゃ、王家に隷属(れいぞく)する事を定めた契約の書式・・)


召喚陣には必ずと言えるほど「服従の契約」を刻み込む魔術が仕込まれる。

呼び出す相手が強いものほど その制約も強制力も強いものとなる。

魔物を召喚してのち暴走されては大問題である為、ある意味当然の処置ではある。


異世界から力ある者を呼び出すのは昔から行われていた。

相手は最初から知性ある人間と分かっている。

にもかかわらず魔法陣には隷属の術式が組み込まれていた。

つまり、最初から奴隷として誘拐しているところに この儀式の悪質な面がうかがわれる。


「制御の出来ないほど 巨大な力の持ち主を呼び寄せた・・これでは まるで魔王の召喚ではないか」


気力で意識を保っていた老婆は 恐れと絶望と諦めの顔で魔法陣に現れる存在を見詰めていた。





ハルカはとうとう異世界に立った。


その姿は正しく子供。

ズボンやパンツは既にずり落ち、Tシャツが膝下まで長いので ブカブカのワンピースのようになっている情け無い姿である。

悪い事に、髪の毛を切らずに長髪のまま放置していた為、子供サイズの体では腰まで届く美しいロングヘアーとなっていた。



「・・の・は、おまえ・ら・か」


「魔人が来たのかと思えば・・何とも可愛らしいお嬢さんだの。最後まで この世はわしを驚かせるものよ」


「るさい・・誘拐・・魔」


バシュッ☆


突然 死体の一つがボロボロに切り裂かれた。

無詠唱でしかも魔法を使う気配すら無かった。

老婆は目を見開く。

同じく魔法を使う者としてその技量の大きさに驚いたのだ。



だが、驚いていたのは老婆だけでは無かった。

ハルカは まわりをキョロキョロと伺い驚愕している。


「こいつら・・何故・・死んでる?」


魔法陣を取り囲むの多くの人間達。

ただし唯一生きているのは1人の老婆のみ。

自分の生活を邪魔した者達に報復する気でいたのに。

地獄の苦しみを与えて殺してやるつもりだったのに。

これでは怒りのぶつけ処が無い。


「言葉は魔法陣に仕込んであった。

話すには口がまだ対応できんようじゃな。

じゃが わし等の言葉は理解できよう。

大いなる魔術師殿、よくお越しくだされた」


「おまえ・・だけ・・か。・・こ・ろす」


「わしも直ぐに命が無くなろう・・・・。

わしを殺して気が済むなら好きにしておくれ」


「くそが、きた・・ねぇ・・ぞ」


確かに老婆から感じられる魔力は一切無く、目に宿る生命力の輝きも消えかかっている。こうして話が出来るほうが不思議な位の衰弱ぶりである。


いくら年老いて命に未練が無いと言っても、これ程までに自分をなげうって呼び寄せた理由に少しだけ心()かれるハルカだった。


「のろ・・って・・やる」


「すまん・・どうやら それももう 受けてあげる事ができそうにな・・い」


「ちくしょ・・! しな・・せる・か・・よ」


ハルカが手をかざし魔法を行使する。

まるでアニメのように あふれ出る魔力の流れによって長い髪の毛が少しだけ浮き上がって揺らめきだす。

この世界に来た事で ハルカは初めて人の目を気にする事無く 強い魔法を解き放つ。


魔法は成功した。しかし、魔法を使ったのは間違いだった。

体が小さくなり 魔力が少なくなっていたのだ。

それに 気が付かずに強い魔法を使ってしまった。



ハルカは 魔力を限界近くまで使い気を失った。



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