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女王陛下の間諜  作者: 0
3/5

03

ブックマークをもらってる!

やる気がでます。ありがとうございます。

その勢いで描き上げた03。

新キャラ登場。

「だぁぁぁかぁぁぁらぁぁぁ!」


 質素な役所にケイトの声が響き渡る。

「言ってるでしょ?これからの時代はスパイの時代なの。分かる?」

「ですから、そういうのは然るべき機関を通してですね」

「あなたホントに頭堅いわね。話も聞かずに門前払いってどういう了見なのよ」

 私たちがここに来たのは、言うまでもなくこの事業の売り込みのためだ。


 一時間前、私たちは事業の宣伝方法について話し合っていた。

「まず、わたし達の活動を知ってもらう必要があるわよね。どうする?宣伝広告でも出そうかしら。スパイの力を貸します、って」

「普通の人はスパイを必要とはしませんよ」

「あ、そうだよね」

「まず、国の機関に売り込む必要がありますね」

「なら今日が良いわ」

 食い気味にケイトは言う。

「どうしてです」

「今日はこの街、サウサンプトンに都市部のお偉いさんが来るのよ。彼は蒸気戦車の前線配備を推し進めたイギリスの英雄よ。新しくて革命的なものが好きなの。きっとこの事業を気にいると思うわ」

「彼はどこに」

「サウサンプトン司令部に彼が来るはずよ」

 サウサンプトンに司令部。そのことについては聞かなくても説明してくれた。

「イギリスが強い国になってから、司令部の数は大幅に増えたわ。サウサンプトンどころか、今やほとんどの港の近くに司令部があるの」

 つまり、イギリスは海岸線の警備を強化した訳だ。軍事的に強い国になるということは、それだけ敵も増える。スパイの密入国を防ぐというのが目的だと私は推測する。

「しかし、彼がそれだけの英雄なら、それなりの護衛はいるのでしょう」

 私は疑問をぶつけてみる。それだけ護衛されている人物に、聞きなれない事業の提案をするのは少し無理がある。

「いるでしょうね。彼の物言いは敵を作りやすいと思うから。何度か暗殺されかけたって。まあ、それでも彼は護衛を鬱陶しがってるらしいけど」

 どうも彼は、新政策を推し進める上で「昔の文化なんぞ糞食らえだ」と演説で言い放ったらしく、賛否両論あったらしい。そのせいで一部から反感を買っているということだ。

「彼の興味を引ければ……。人物像を組み立ててみたのですが、恐らく騒ぎが起きれば寄ってくると思うんです」

「それなら任せて」

 そういうとケイトは飛び出して行った。


 そして、今に至る。

 大声で叫ぶケイトに駆け寄り、止めさせる。

「ケイトさん。さすがに方法があるでしょう」

「何よ。わたしはこのカタブツに腹が立って、こうやってねぇ!」

「ですから、然るべき機関を……」

「うるさい!」

 ケイトは一蹴する。この女性は売り込む気があるのだろうか。

「ふむ、何やら騒がしいな。どうしたね」

「少将!」

 受付の青年の顔が明るくなる。奥の扉から、パイプを持ち、立派な口髭の長身な男が現れた。

「この方々が何やら商売の話を……。私は然るべき機関を通してくださいと申しているのですが……。」

「機械のようなマニュアル道理の対応ではいけないな。何のための人間だ。もっと柔軟に対応したまえよ、君」

 男はわたし達に向き直り、

「我々の機関のものが失礼した。申し訳ない」

「あなたは」

「申し遅れた。我輩はアーサー・フォークス。少将だ。商売の話、と聞いたが簡潔に内容をご説明願えるかね」

 この男が蒸気戦車を配備した人物。イギリスを変えた立役者。

 その問いについてはケイトに説明させるわけにはいかない。

「民間の、スパイ派遣会社です」

「ふむ、興味がある。詳しく話をお聞かせ願いたい」

 私はフォークスの眼光が鋭くなったのを感じた。

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