第一話 少女
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その日は、うるさいインターホンで目を覚ました。
日本の電子会社に勤める長邑慎也は
つい何時間か前まで残業をしていた。
パソコンを何時間も何時間もしていたために
肩も気分も重く沈み込んでしまっている。
時計をふと確認すると、今は朝の8時すぎだった。
慎也が寝たのは5時だというのに、どうしてこうも
めちゃくちゃなタイミングでインターホンがなるのか。
苛立った感情を表に出さぬようこらえつつ、少し枯れている声で
慎也は「はーい」と返事をした。
朝の時間には重すぎる体を無理矢理起こし、
玄関先までふらふらと歩いていく。
何度も押されるインターホンが、相手の苛立ちを表していた。
ガチャリ、と無駄に響いたドアをあけるとそこには
宅配にきたらしい青年が立っていた。
「あの、サインお願いします」
少し睨みながらそういう彼はやはり予想通り苛立っているようだった。
そんな態度に慎也も少しむっとしたが、なんとか適当にサインを済ませ
宅配物を受け取った。
すると青年は、やっとかよというような表情で、
慎也の玄関から去っていった。
それにしても。
こんなものを頼んでいたのだろうか?
自分の身長ほどの大きさになっているダンボールを見て、慎也はずっと
頭にハテナを浮かべ続けていた。
その瞬間、ボォンッ!!!と聞いたこともないような破裂音が
慎也の鼓膜を振動させた。
びくっ、と思わず身体全体を竦めてしまったが
原因が気になったので、音のしたほうを見てみることにした。
「……っ?!」
「Hello?それ、と、もこん、にち、は?マス、ターご主人、様……??」
慎也は思わず驚きの声をあげた。
そこには、幼い少女が立っていたのだった。