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ダブルス  作者: aruko
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八話 ~笑顔の裏側~





正直、ものすごぉぉおおく面倒臭い。

受付なんていう私には全然性に合わない仕事を無理やりやらされて、それでもまだそれは給料がよかったからまだいい。

だけど、これはないだろう。


なんで私がこんな胡散臭い二人の監視みたいな真似をしなきゃならないのよ。

部長さんがレベルが本当なのか確認してほしいっていう依頼なんかしなかったら、こんなことにならなかったのに。

部長さんもあんな木刀を気にする必要ないのに。


そもそもこの二人がレベルを偽らなければ、こんなことにならなかったのだ。

レベル60と83なんて高レベルな人がまだ派遣協会に登録していないわけないじゃない。

偽るならもっとリアルな数字にしなさいよ。

バカなのかしら。


この二人はいいとこレベル5ってところでしょうね。

服もその辺によくある布系だし、男の方は練習用によく使われる木刀だし女の方は武器すら持っていない。

どう考えてもその二人が高レベルなわけがないよね。

脅すためにオーク討伐誘ったけど、すぐ逃げ出すでしょ。

それで違約金をせいぜい払うがいいわ。


・・・いけない、いけない。

もう少しで素が出るところだった。

とにかく、部長に頼まれたことだしレベルを確かめるまではちゃんと付き合うか。


「宿はどちらでしょう。夕飯でもどうですか?」


「まだ宿は決めていないんです。着いたばかりだったので。」


・・・浮浪者じゃないよね?

まあ、一応身なりはちゃんとしているからそれはないか。


「ここに泊まることもできますよ。少し狭いですが。」


「うーん。じゃあ、そうする?仁。」


「少し暗くなってきたし、今日はそうしよっか。」


まあ、理由としては妥当か。

前金はさっき渡したし、お金がないわけではないよね。

節約でもしたいのかな?


「じゃあ、少し通りに出て食べ物でも買ってきますか?私ももう仕事は終わりですから、お付き合いします。少し待っていてください。」


「わかりました。」


私はそこらへんの屋台を簡単に案内し、ご飯を買っていった。

大体弁当の相場が700円位だから、彼らが買った食料はものすごく質素だろう。

露店で売られている肉や野菜を、小麦粉か何かで作った皮で包んだよくある軽食を二つ買っただけであった。

やっぱり節約しているのかな?

ちなみに私は面倒事を押しつけられた腹いせに、いつも買っている弁当より少し高い弁当を買った。

・・・これも経費で落としてやる。


そんなこんなで私たちは派遣会社に戻ってきた。

三人で会社のテーブルが置いてあるいわゆる‘憩いの場’に来ていた。

来る人の半数がここを利用する目的で派遣会社に訪れ、いわゆる情報交換の場として使われている。

少し高いが酒や軽食などは常時用意されていて、派遣会社の大きな収入源になっているらしい。

街にある酒場でよくあるような喧嘩などは派遣会社の面子もあり、かなり厳しく取り締まっているので一切ない。

そのせいか、女子供にも人気の場所でもある。


話してみると、そんなに悪い人ではないようだ。

話をしているのはほとんど晴香という女性のほうだが、男性の方も全くしゃべらないというわけではない。

男性もこちらが話しかければ返事を返すし、会話として成り立つ。


というか、好感をもったのはむしろ男性の方だ。

今日会ったばかりの相手に対して、注意をしつつ相手に悪い気分を起こさせない程度に返事をして、簡単にいうと私が軽くあしらわれている。

初対面の相手に対しての対応としては悪くなく、私は情報収集がうまくできないイライラと共に好感をもった。


それに女性の方も悪くない。

純粋に仲良くしたいと思っているのかわからないが、話した感じ私をだまそうという感じはないし、嫌悪感はない。

正直冒険者として普通に会えば、打算なしに仲良くなれそうな気がする。

本当になんであんなすぐにばれる嘘をついたのだろう。


ご飯を食べてから二人が泊まる部屋に案内した。

まだ二人は最低のランクHなので、かなり狭いベッドが置いてあるだけの部屋に案内する。

レベルが高くなるか、多少お金を払えばもっと広い部屋に泊まることもできるが二人はここでいいそうだ。

絶対節約中だ。


二人に明日武器屋と素材屋に連れて行って欲しいと頼まれ、私が了承すると二人はお礼を言いながら部屋に入って行った。

・・・いい人たちなのになぁ。

何かわけがあるのか考えながら私も、自分の部屋に戻って行った。






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