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四話 ~喜劇の始まり~
コトン。コトン。コトン。
ゆっくりと鳴り響く足音。
一身に黒を纏い、ゆっくりと響き渡るオト。
悲しみのような、怒りのような。大きな虚しさが響き渡る。
いろいろな感情が入り乱れたこの通路で、虚空を見つめたオトコハワラウ。
「愛しているよ。大切だよ。だからこそ、俺は鬼になろう。」
「君がどんな結果を迎えても、これが俺の最後のエゴだよ。」
「結果君が本当に死んでしまっても、俺はもう後悔はしない。」
「わかってくれるだろう。俺はこうしたいんだ。」
狂気なのか、狂喜なのか。
多分、自分でもわかってはいないだろう。
でもその姿を見たら皆、こう言うだろう。
「アイツハクルッテシマッタ。」