表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダブルス  作者: aruko
2/15

一話 ~普通こそが貴重~

「そこ右じゃない?」


「さっき通ったじゃん。レアいなかったし。」


俺と恋人の晴香はパソコンに向かっていて、少し前に流行ったネットゲームをやっている。

ディスクを買ってきてパソコンにインストールし、専用のコントローラーをUSBで接続してするタイプのゲームであるこの「ストレートストーリー」はなかなか有名なゲームで、結構な販売数を誇った名作である。


名前は安易ではあるが価格がコントローラー込みで3000円弱という低価格で販売され、低所得者でも簡単に手に入れられるという利点から、購入者が増えたのがこのゲームが流行った理由だろう。

3000円という低価格でありながらコントローラーも安っぽくなく、そういう品質的なものでも評価は高いが、なんといってもこのゲームの売りは行動の自由度である。


行動の選択肢が多く、そして多岐に及んでいる点や、普通のゲームなら通れないと設定するであろう山などを登ることもできる。


しかしながら、制約も多いのがこのゲームの特徴であろう。

たとえていうと、普通のロールプレイングゲームであるいわゆる壺を調べるなどをこのゲームでしたら、牢獄に入れられたりするのである。

変なところで現実に準拠していて、何かの圧力を感じるといったものでネットで話題になったものである。


それ以外にもゲームの面白さで課金をするであろう事を込みにして行ったこの価格設定はなかなかセンセーショナルなものであったらしく、そのことでもテレビで取り上げられるなど、話題に欠かなかった作品である。



そんな「ストレートストーリー」をしている最中でも晴香は俺に笑いながらちゃちゃをいれ、楽しそうにジュースを飲んでいる。

そういえば最近は部屋でこんなやり取りをしていることが多い気がする。

もちろん普通のデートなんかもするが晴香は俺のアパート入り浸りで、大学の講義や友達と遊ぶ時以外の時間は俺の部屋にいることが多い。


晴香には言わないがこんな男くさく狭い部屋に晴香が来てくれて、二人でいるのは俺的にはなかなか楽しかったりする。


そんなわけであるから、こうやって俺がこのゲームをしている姿を晴香はよく目にしている。

晴香もこのゲームを俺がしているのを見ているのが好きなようで、このゲームをしているときによく近く(近くというか膝の上)で座って見ている。

そのせいか、かなり内容に詳しくなっている。

ステージのレアな敵の居場所とか武器のつくり方とか、知識がなかなかコアになってきた。


それにしても俺がこのネットゲーム、「ストレートストーリー」をやり始めて早三年が過ぎ去った。

大学の入学当時、大学で初めてできた友人に薦められて始めたこのゲームは今までしてきた家庭用ゲームとは全く違った。

友達と一緒にできなおかつゲーム内で友達ができるという俺にとっては革命的なゲームであり、俺がハマるのにはそんなに時間はかからなかった。


このゲームにハマって、それからの俺の行動はかなり早かった。


中学の時の友達に頼んで快適にゲームができる性能のパソコンを組んでもらい、経験値の多く入るアイテムや強い武器をネットマネーで買いあさり(まあ、常識の範囲内ではあるが)、俺はどんどん熱中していった。


まあ、最近は更新のマンネリ化が進み内容があまり面白く思えなくなってきているのだが。


主キャラクタは常にカンストさせているが、最近ではいろいろな職業のサブキャラクタを作って楽しんでいるような状態だ。


晴香の頼みで女のサブキャラクタもいくつか作ったし、正直遊びつくしている感か強い。

いわゆるネカマ行為なんだが晴香がいるときにしか使わないし、それにサブキャラではほとんどソロプレイだから問題はないだろう。


今も晴香のお気に入りの女のサブキャラクタでストーリーを進めていて、いまボスを倒したことによりレベルが上がった。

晴香がいる時は女のサブキャラクタでゲームをすることが多く、入り浸っている今では男のサブキャラクタより女のサブキャラクタの方がレベルも高くなり、晴香もご満悦みたいだ。


「ねえ、もう一時だよ。そろそろ寝ようよ。」


「もうそんな時間か。明日は横浜に遊びに行くし、そろそろ寝るか。」


「そうだよ。久々に遊びに行くんだし、ゆっくり寝て明日は楽しまなきゃね。」


「じゃあ寝るか。布団剥ぐなよ。」


「そんなに寝相悪くないもんね。おやすみ。」


明日は久しぶりに二人で中華街に遊びに行く予定で、晴香も俺も結構楽しみにしていた。

本当に豚まん楽しみである。あの肉汁は何度食べてもたまらない。


そんなたわいもない会話をして、俺たちは寝た。


そう。

確かに、俺の部屋の俺の二人で寝るのには狭いシングルロングのベッドで俺と晴香は寝たのだ。


今思えばたぶんきっと、これが俺達の見た最後の現実だったんだろう。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ