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ダブルス  作者: aruko
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十一話 ~新装備と自重なし~





あえて言おう。

共同錬成って反則だと。

そして俺は自重しない、と。


部屋に案内されて、すぐに俺達はオーク討伐に備えて自分たちの装備を作ることにし、今回はエルサに聞いていた共同錬成をしようと思っていた。

やり方が分からず不安であったが案外簡単で、二人で手をつないで錬成するだけで行うことができた。

やり方を確認して、いざ錬成である。


最初の小屋で行った要領で晴香の装備品から一つずつ作っていった。

今の俺達のMPは、俺がMP206で晴香はMP306あり、合計では512あることになる。

これだけあればかなり上位の装備が作れるとは思っていたが、かなりいいものができたようだ。


できた装備を列挙すると、俺の装備が極・魔道木刀+8、魔法衣のジャケット+19、魔獣の籠手+19、波動の指輪+8で、晴香の装備は魔道ロッド+19、魔法衣のローブ+19、波動の指輪+8である。


錬成を始める前に読んだのだが、素材屋で買った本である「錬成の素材・組み合わせ」にはかなり興味深い事が書かれていた。


錬成には初期コストと成長コストがあり、初期コストはその名の通り武器を作るために必要な最初にかかるコストであり、成長コストとは+を付けるのに必要なコストであって、三種類の法則があるそうだ。


その三種類とはコスト5系統、コスト10系統、コスト15系統である。

これもまたその名の通り成長コストが5と10と15の違いがあり、コスト5系統が成長しやすく、コスト15系統が成長しにくいという感じなようだ。

一般的な装備はコスト10系統が多いらしく、上位の装備はコスト15系統、木刀などの入門的な立ち位置にある武器はコスト5系統が多いようである。


今回作った武器は極・魔道木刀+8がコスト5系統で波動の指輪がコスト15系統、それ以外がコスト10系統となっていて、それぞれかなり強い装備が作れたようだ。

特に極・魔道木刀+8は第三武器と呼ばれる装備であり、滅多にない装備のようだ。


本には武器は3回まで進化があって、それぞれ進化すると第二武器、第三武器、最終武器と呼ばれていて、第三武器や最終武器はなかなか無いと書いてあった。

やはり作るのも大変なようで、王族用に多人数で共同錬成を行いやっと第三武器や最終武器が作られる位の大変さであるようだ。


まあ、入門によく使われる木刀の第三武器ならばそれなりにありそうな気がするが、魔木刀+19でなかなか凄い装備であったことを考えるならば、十分凄い装備であるはずだ。

それに火と氷と風と土の宝石を一つに合わせた透明の宝石(四種の宝石)をまぜたおかげで魔法スキルの伝導率も上がっていて、魔法スキルの威力に関係するMAも多少ではあるが上昇するようだ。


この透明の宝石(四種の宝石)は魔道ロッドや波動の指輪にも使われていて、普通の宝石だと一種類の属性しか対応できないがこの宝石を使うと四属性に対応し伝導率も上がるようだ。

ちなみに名前に道が入ったのも、宝石を混ぜたからである。

これで多少は魔法スキルや魔法剣スキルの威力を上昇させられ、その面でもそれなりに活躍することができるだろう。


極・魔道木刀+8だけでなく他の装備もすべて第二武器であるから、それなりに良い物が作れたみたいだ。

これでオーク討伐の準備はなんとかそろったな。

残った日にちは丸3日あるから、まだまだ大量にある素材で色々作ってお金儲けでもしようかな。


オーク討伐の前日の夜、引きつった笑顔を浮かべながら晴香が話しかけてきた。


「あ、あのさ仁。流石にやりすぎじゃない?」


「へ?なにが?」


「はぁ。あのさ。いくら生きていくのにお金が必要だからといっても錬成したやつ全部売っちゃうって、こんな大金どうするのよ?」


「そうかな。何があるか分からないし、稼げるときに稼いでおいた方がいいと思ったんだけど。」


「それは分かるけど、三日で3億円とか稼ぎすぎでしょ。」


「そっかぁ。錬成が楽しすぎてやりすぎちゃったし、売りすぎちゃったかな。あはは。」


「あははじゃないよ。全く、一緒に作った私も言えた事じゃないかもだけど、今後はもう少し売るタイミングとかやり方を考えてよね。」


頑張っていっぱい稼いだのに小言をもらってしまった。

まあ確かに悪目立ちしたくないし、今後は控えよう。


装備作りとお金儲けをしていたらすぐに日にちは過ぎ去って、今日はもうオーク討伐の日である。

今はもうオーク討伐の集合場所に来ており、もうすぐ出発するようだ。


晴香が朝から張り切ってしまって大変だったのはいつものことなのか?

旅行や遠出のときに張り切るのは知っていたが、生き物の生死にかかわることにここまで楽しみな感情を出すのは、少し理解ができない。


「諸君、今からオーク討伐に出発する。今回向かうのは北にあるノルドの森だ。着いたらまた指示をする。隊列まで組む必要はないが、なるべくまとまっていてくれ。」


金ぴかの鎧を着た偉そうな中年の男性はそう言いながら周りを見渡し、全員が話を聞いた事を確認するとさっさと北に歩き始めてしまった。

その様子をじっと見ていた俺と晴香は、俺達を見つけて走り寄ってきたエルサと共に北に歩きだした。


確認ではあるが、オークとは簡単にいうと二足歩行の豚の化け物である。

人間と比べて低脳な知能を持ち、簡単な武器などは使うが討伐の難易度で言うと中の中程度のもので、討伐はそんなに難しいものではない。

中級者でも討伐は難しくなく、よく一人前の冒険者となる試験として討伐試験が行われる事があるようだ。


エルサの話しぶりでは余裕そうな事を言っていたが、そんなことは一切なく、数が揃えばそれなりに高い難易度の魔物のようだ。

むしろ一人前の冒険者になることは「一人で魔物と対して生き残れる」という基準があり、なかなか難しく、基準に達するのは難しいようだ。

そのようなことから基準を達する前に旅に出る物が多く、低レベルな冒険者が多くなってしまっているのが現状のようだ。


まあ俺達が名乗ったレベルでは余裕なのかもしれないが、残念ながら俺達の戦闘経験は俺が一度しただけなので多いとは言えない。

であるから、決して舐める事は出来ないであろう。

まあ、レベル的には負けることはまずないであろうから、注意していれば大丈夫なはずである。


エルサは俺達のレベルはかなり低いと思っているようで、死なないように後衛にいるように勧めてくれた。

何故、あんな高レベルの武器を持っていたのか疑問に思っていたみたいだが、村全体で共同錬成を行ったあとに魔物の討伐を行ったことで武器が育ったと言ったら、不満げながら納得してくれたようだ。

ギリギリあの武器が作られる可能性はあると思えたようである。


変な納得はしているが、俺からみてもエルサはバカではない。

むしろ知性がある方であり、今までの様子を見る限り人間関係ではかなり鋭いところがあるように見える。

まだ武器屋と素材屋の店主位しか話をしていないが、この世界の人間は義務教育を過ぎた人間より教養は少ないようで、簡単にいうとバカが多い。

武器屋や素材屋などの商売人からしてそうなのだから一般的にみて水準は低いのであろう。


この世界の知的水準はとりあえずいいとして、今回は晴香とエルサの三人で話し合って後衛に回ることにした。

後衛と言っても厳密にいえば中衛的位置にあるようで、敵も少数ではあるが向かってくるようだ。

派遣会社への申請上では、晴香は神官だし、エルサも魔法使いであることから完全な後衛であるし、俺も魔法剣士であることから問題はないようだ。


森に入り、もうすぐオークが発生していると思われる地点に到着するようだ。

少しの不安と少しの高揚感。

二つの感情が混ざり合ったよくわからない感覚が、俺の背中をぞぞぞっと震えさせた。





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