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ダブルス  作者: aruko
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十話 ~エルサの本音と素材~






「あんたたち何者よ!!何あれ!!どういうことよ?!」


「お、落ち着いてください。エルサさん。説明しますから。」


「落ち着けないわよ。なにあの超上位武器は!!・・+19ってどれだけ魔獣倒したのよ。」


「説明しますから。あれは二人で、そのぉ。」


「二人の共同錬成にしても+19は高すぎるでしょ。どうやって手に入れたのよ。」


「共同錬成ですか。・・まあ、そんなものですかね。それに足して討伐をしたんです。」


「一体どれだけの討伐をこなしたのよ。」


「まあ、それなりに。」


超面倒くさいな。

まあ、疑っていた相手が目の前であんなに大きな取引をいきなりしたんだから当然か。


それにしても共同錬成か。

やり方とかの詳細が知りたいな。

俺と晴香の二人で共同錬成したらどんだけ凄いのができるんだろう。

まあ、木刀もなくなったし俺の武器を作る時にでもやってみるか。


次はどんな武器にしようかな。

芸がないけど木刀は何気に使っていてよかったし、また木刀でもいいな。


「これはレベルもあながちウソってわけではないかもしれないようね。」


「・・・やっぱりレベルを疑っていたんですね。」


「・・くっ。・・・わかっていたの?」


「話が強引でしたからね。晴香もわかっていたよな。」


「うん。お金ないからあえて乗ったけど必要なかったかな。あ。情報を色々教えてもらえるからそこまで悪い話でもないか。」


「・・・はぁ。二人とも私より上手だったようね。武器屋の交渉とかも商人相手にうまく交渉していたし。」


「あれはホント幸運でしたよ。相手が俺を舐めてくれていたおかげで上手くいきました。」


あくまで今までの人たちの傾向だが、ぶっちゃけていうと腹芸というか、教養が低いというか、この世界の人は直情の人が多いようだ。

現代人であればそれなりに注意していればそうそう騙されることはないだろう。


だけど、もっと手強い人がいるかもしれないから油断はできないな。

これからも気を付けていなければな。

さっきの取引だって武器屋の店長が俺を侮ってくれたのは本当で、あれがなかったらもっと面倒臭い交渉になっていただろう。


「とりあえず素材屋に連れて行ってもらえるかな。話とかするのはまた夜にでもしましょう。」


「まあ討伐のこともあるし、約束だから当分は付き合うよ。だけど、色々話は聞かせてもらうよ。」


「それが仕事みたいだからね。」


「そうそう。まあ、行きましょう。」


この人頼まれて俺達を調べていたのに、白状しちゃったけど大丈夫か?

おそらく派遣協会の人にでも頼まれたのかな。


問題はなんで目を付けられたかだな。

あとで話すときにそれとなく聞き出してみるか。


金を払いご飯屋から出ると俺達は塔の方に歩きだした。


武器屋の近くにあると聞いていたが、そこまで近いというわけでもなく、五分位歩いたところに素材屋はあった。

看板に素材屋と書かれた武器屋より少し大きめの家で、中には色々な貴金属や動物の皮らしきもの、変わった模様の布など様々な物が置かれていた。


ていうか、金属類はそこまで高い物は少ないが、宝石や魔石(と思われる物)、意外だが何かの皮のようなものや骨や牙が異様に高かった。

普通に考えれば金属類の方が高いような気がするんだが、銀の塊でも10万円で鋼の塊は5万円、鉄にいたっては1万円と、他の素材に比べたらかなり安い値段で売られていた。


飾られている限りでの判断であって、これ以上のものがないとも限らないが、小粒の宝石が30万円し大粒になると500万円はするようだし、それより高そうな魔石などは安い物で300万円もして、高い物となると1000万円は軽く超えるようだ。

恐ろしいほどの価格差である。


「なあ、エルサ。聞きたいんだけど。」


「なに?」


「なんで皮とかが銀とかの塊より値段が高いんだ?」


「え?常識じゃない。金属は錬成で砂とかからでも作れるし、鉱山とかの鉱石から錬成すれば銀とかでも大量に作れるから安いに決まっているでしょ。逆に魔獣の皮とか牙は命がけで取るものだし、錬成で布や木材を使うよりも良い物ができるから当然でしょ。逆に何故知らないかを私が聞きたいわ。」


「あ、あはは。い、田舎者だからね。」


「・・・あんたたちどんだけ田舎な場所から来たのよ。このくらい常識でしょ。」


「あはは。面目ない。」


「仁。いろいろ売ってるよ。今度は私の武器も作ろうね。」


そういっている晴香に呼ばれて近くに行くと、大小さまざまな宝石をみて嬉しそうな晴香が満面の笑みを浮かべていた。

晴香も女の子なんだな。

光り物にはやはり弱いようだ。


それにしても晴香は順応が早いな。

よくわからない世界に迷い込んで落ち込んだり不安になる前に、この状況を楽しんでいるようだな。

俺にもその図太い神経が欲しいよ。


とりあえずお金はたくさんあるから「錬成の素材・組み合わせ」っていう冊子を初級編と中級編の二冊購入して(合わせて10万円と意外に高かった)、他にも角材とか鉄や銀などの金属の塊、布や魔獣の皮などを10個単位で一通り大人買いしていき、カバンLV7に入りきらなかったことから500万円で売っていたカバンLV9を買い、二つのカバンに買った素材をどんどん入れていった。


あとは、晴香の武器用に宝石を何個か買えば買い物も終了である。

なんでも、宝石は魔法系スキルの伝導率が良いらしく、普通の杖より宝石を混ぜた杖の方がステータスのMAを上昇させるし、上位の武器になるようだ。

俺の武器も作らなくちゃだし、それにも宝石を混ぜてみようかな。

よし、金はまだまだあるし宝石も大人買いしよう。


ということで六色の種類がある宝石を各5個ずつ買って、買い物は終わりを告げた。

大量に買ったことで気をよくした店の主人に値引きをしてもらって、全部で3000万円の買い物となった。

結構値引きしてもらったが、買った量がかなりの数あったので大きな出費となってしまった。

だけど、これから生きていくための必要経費だと思えば全然痛くはない。


それにまだ2500万円ほど残っているし、まあ当分生きていく分には大丈夫だろう。

素材屋を出て派遣会社に帰る道すがら、エルサがため息交じりに話しかけてきた。


「あなたたちのお金だから何も文句はないけど、そんな大量の素材どうするのよ。」


「錬成の研究でもしようと思ってね。オーク討伐までにそれなりの装備を作らなくちゃだから多めに買ったんだよ。」


「そういうことね。でもよかったの?使いなれた業物の木刀も売っちゃったみたいだし、オーク討伐まで今日を合わせて4日しか期間はないわよ。間に合うの?」


「四日もあれば十分だよ。多分なんとかなるはず。」


「まあ、いいけど。でもそれなりの装備をしていかないとオークは厳しいだろうから、ちゃんと良い武器を作れなかったら武器屋に買いに行きなさいよ。」


「わかりましたよ。エルサ。ありがとうな。」


「目の前で死なれると目覚めが悪いから言っただけよ。それより本当のレベルは結局いくつなのよ。」


「言っても信じないかもしれないけど、登録の時に書いたLVが本当のLVだよ。」


「ううむ。まだそれを言い張るのね。まあいいわ。オーク討伐の時には分かるはずだものね。」


「そうなるのかもね。あ、今日から二人部屋で少し大きい部屋に泊まりたいんだけど、大丈夫かな?」


「少しお金がかかるけど大丈夫よ。帰ったら手続きをしましょう。」


「あと、部屋で錬成をしても平気かな?」


「昨日の部屋では禁止だったけど、今日の部屋は大丈夫よ。」


「よかった。できなかったら困っていたところだったよ。」


そんなこんなで今日は良い部屋に泊まれるようだ。

一泊につき一人5000円かかるようだが、お金はまだまだたくさんあるから問題ない。

フロントで四日分の4万円を支払い、‘憩いの場’で遅い昼食を食べることになった。


昨日食べたケバブもどきも美味しかったが、ここの料理も結構おいしい。

少し硬めのパンにハムや野菜などを挟んで斜めにカットし、イタリアン風味の濃いめのソースがかけられていて、皿にはそれが二つ乗っている。

これで、500円とは安い!!

またこれを食べようと心に誓いながら晴香とエルサさんと昼食をとった。


今日の残りの時間は早速オーク討伐に使う装備の錬成を始めよう。

自分たちの一応の武器を作ってからは、お金稼ぎのための武器錬成かな。


たぶん今回の錬成でオーク討伐位なら十分対応できるものが作れるだろうが、今後どんな敵に出会うか分からないからなるべく多くお金を稼いで、どんな状況でも生き残れる装備を用意しなければならないし。


これはゲームなんかじゃないんだから、用心に用心を重ねながらいかなければ生き残れない。

俺が晴香を守らなければ。






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