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ダブルス  作者: aruko
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九話 ~戸惑いの武器屋~






「これは金の心配はないな。」


俺達はエルサ(呼び捨てで良いらしい)の案内で武器屋に来ていた。

少し広めの店内には、太陽に照らされて鈍く光る剣や槍などが所狭しと置かれていて、他にも弓や杖などの、総体して武器と呼ばれるものが大量にあった。

晴香もその量に驚いたようで、目を丸くしている。


俺が武器屋に来たかったのは武器の値段が知りたかったからだ。

俺と晴香は錬成により武器をMPの許す限り量産できる。

これを売れば俺達の金欠もなくなると考え、俺達はここに来たのだ。


値段を見てみると、ガチで大量生産できそうな木刀は1000円で売られており、やはり安い。

逆に鉄で作られた剣は5万円、銀色に輝く鋼製の剣などは30万円程で売られており、やはり高いようだ。

杖も大体そんな感じの金額で、やはり木製は安く金属製は高いようだ。


「エルサ、質問なんだけど。+付きの武器は売られていないの?」


「+ですか?知っていると思いますが基本的には生命あるものを倒して武器の経験値がたまった時に付くのが一般的ですね。レベルが高い者が錬成者ならば作成時に付けることが出来るようですが。木刀などなら付けることは誰でも簡単ですが、白銀剣などの作ること自体が大変な武器は最初から+付きはかなり難しく、あっても高価ですね。5倍位はします。」


「そうなのか。エルサは錬成は?」


「鉄の剣位なら作れますよ。魔法士にクラスチェンジしたら一人で銀系統も作れるようになるようですが、私はまだですね。」


錬成自体をできるか聞くつもりで聞いたのだが、違う話が帰ってきてビックリしたな。

話しぶり的に錬成は誰でもできるようだ。

それにしても+が付くとそれだけで値段が高くなるとは、良い事を聞いた。

俺と晴香のMPならば白銀剣あたりも大量に作れるだろうし、あとは作り方だけだな。


「白銀剣って素材は何で出来るの?」


「確か、白銀と木材かな。ちなみに金属と木材っていうのは、剣や槍などの武器を作るときによくある組み合わせですね。火の魔石などの属性石とかも混ぜると属性も付けることができます。」


確かに錬成の混ぜる項目自体は4つまであったし、3つ合わせるという組み合わせも当然ありうるか。

・・・てか凄い違和感あるな。


「エルサ。俺も呼び捨てにしているし、お硬く話さなくてもいいよ。」


「そうですか。じゃあ、お言葉に甘えてもう少し砕けて話させてもらうわ。これが私の素なんでよろしく。あー、肩こった。」


・・・作ってる感じはしていたけど、かなり変わったな。

なんか男みたいだな。


「それでどうするの。ここで買い物ないのなら次は素材屋に行くけど。」


「ちょっと待ってて。ご主人、この木刀を査定していただきたいんだが。」


「いらっしゃい。ん、なんだ木刀かい。まあいい。ちょっと待ってな。」


これは昨日から考えていたことだが、この魔木刀が高値で売れるようなら売って、それを元手にして金を稼ごうというやつだ。

魔木刀なら晴香に頼めばまた作れるし、今はお金を稼ぐ方が優先すべき課題だろう。

もちろん晴香も同意の上だ。


なんだか走って帰ってきた武器屋の主人を見る限り、かなり価値があるようだ。


「それなりに価値がある木刀のようじゃの。+が7つ付いておる。2万で買い取ろう。」


この狸爺。

絶対ボッタくる気だな。

そっちがその気ならこっちも言うこと言うぞ。


「+が7つですか。おかしいな。他で鑑定してもらった時には特殊な木材が使われていて、+も19付いていると言われたんですが・・。」


「そ、そうかな。その鑑定人の間違いじゃないかな?」


「一流と聞いて頼んだんですがね。もし必要があるなら呼びますが、どうします?」


「う、うむ。・・・すまん。このことは内密にしてもらえんか。」


「もしこのことが街に広まったら大変ですしね。適正な買取価格に多少色を付けて、今後多少の優遇をしていただけるなら、契約成立ですね。」


「・・わかった。適正な買取価格は5000万じゃ。色を付けてあと500万とカバンLV5を付けよう。」


「カバンLV5ですか。」


「LV7。これが最大限じゃ。お主にこれ以上嘘を言って買えなくなったら困るしのぉ。」


「そうではなくて、カバンとはなにか聞きたかったのですが、遠慮なくLV7にしていただきましょう。」


「・・・しくじったの。そのカバンは容量が普通のカバンより大きくなっていての。LV1で50キロくらい入り、LV2で100キロくらいまで入る。LV7はだいたい350キロじゃ。入れたら空間魔法スキルによって作られた空間にものが入るから本当の内容量の重さを感じることはない。」


「かなり優遇してもらえたようで、契約成立ですね。あと、私とあなたの取引を内密にしていただけるなら、また何か売りに来ますよ。」


「守秘義務があるからの。その心配はないが、また売りに来てくれるのはありがたい。また良いのを頼むよ。」


俺達はお金とカバンを受け取り、店をでた。

あの木刀の買取値段を聞いた瞬間から晴香とエルサは唖然としており、正直俺もビックリして叫びたくなったが、取引なんかしたことなかった俺の精神はギリギリ持ちこたえていて、なんとか平静を保てたようだ。


まあ、鑑定をしたなんてハッタリが効いてよかった。

+19なのは本当だし、真実を混ぜたのと、偶然ナイスタイミングにそのことを話せたのがよかったのだろうな。


ていうか、お金稼ぐ必要なくなったな。

まあ、これを元手に金稼ぎをしても良いかもな。

武器の値段とか見ていると良い物になると億単位の物とかあったし、今後のことを考えたらあるに越したことはないからな。


てか、5500万円とかマジヤベえ。

今カバンLV7の中に入っているけど、マジ焦る。

ていうかこの世界に銀行とかあるのかな?

なかったら持ち歩くとか本当に心臓に悪いわ!!


こんな俺みたいな小市民が持つ値段じゃないだろ。

晴香なら大丈夫そうだけど。


まあ、とりあえず二人が唖然状態から復活するまでその辺のご飯屋にでも入るか。

でもホント、エルサにどう説明しよう。







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