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彼は何故その部に入部することにしたのか? Ⅳ



「彗斗ってさ、なんでそんな閑野先輩を毛嫌いしてるんだろ?」

「千並、まさか気づいていないのですか? あの閑野先輩? と彗斗、明らかに何か過去に会ったのが分からないと?」

「んー、何かがあったのはわかるんだけどさ、その『何か』が何なのかっていうのは正直よくわかんねえ」

「気づきなさい阿呆、恋愛関係に決まっているでしょう」

「……そうなのか?」

「恋愛偏差値が零に等しいあなたからしたら、あの態度の理由が何なのかわからなくて当然だとも言えますがね」

「そんなもんなのかな」

「どう考えてもあなたが鈍いせいでしょう」

「………………そうかもな」


 

 

 一言でいえば、まあ、疲れたとでも言うのが妥当なところだろう。

 まさかこの学校であの人に会うとは思ってもみなかった。

 もう二度と会うのはいやだったのに。

 そういえば、あの二人を置いて逃げ出してしまったが、うまく収集をつけてくれただろうか。三人の会話を最後まで把握しておかなかったことに後悔する。今更悩んでも無駄だというのはわかってはいるのだけれど。

 正直なところで言うと、もう気にする必要はないのかな、とも思う。嫌われた最初の根源となったのが閑野先輩だったとしても、ほかに尾ひれをつけた人物が存在するのも確かだし―――――そういう意味でいえばそいつのほうが悪いのかもしれない。

 どちらにせよ、本来ならば俺の閑野先輩に対する高感度は、プラスにまでいかないにせよ、マイナスから脱出してゼロ位には行っててもおかしくはないのだ。

 現に先ほど先輩と会うまでは、先輩にされたことを思い出すこともだいぶ少なくなってきていたのだ。

 ―――――本来ならば。

 本来ならば―――――俺は先輩との過去から抜け出せていたはずなのだ。

 それが一瞬にして否定されたのは、先輩が泣き真似なんかしたから?

 俺がその涙が嘘、と激高したときも、あっけらかんと肯定しないで泣き続け、先輩が反省している、ということを悟っていたならば、おれはそのとき先輩を許していたのだろうか?

 そもそも、おれは先輩にどういう反応をしてほしかったのだろうか?

「あー、もうなんもわかんねー」

 思考を放棄。脳内のぐるぐるを全削除。


 とにかく――――俺が帰宅部に入らないということは、確定事項として脳内に深くインプットされた。


ま――――――――――――――だ入りませんよこいつ。

いったい何を考えているのでしょうね。

あ、大丈夫です。次はちゃんと入ります。

心配なさらずとも(だれもしていないでしょうけども)――――――はい、おそらくは。……はいり、ます、よね?


ではⅤをそれほどたのしみにせずお待ちください。

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